fc2ブログ

ファン・デ・ナゴヤ2017(その1:365Wishes)

ファン・デ・ナゴヤ2017(その1:365Wishes)
期間: 2017年1月12日(木)〜1月29日(日)
場所: 名古屋市民ギャラリー矢田
今年は、三つのプロジェクト「365Wishes」/「だれかのなにか」/「Poison毒」の展示です。

先ずは、神村泰代さんが企画・出展した「365Wishes~Happy Birthday to you」
4Fの広い展示室に、365個のオルゴールが吊り下げられていて、そのフレームの裏には4桁の数字が打刻されています。
この数字は、日付「〇〇(月)〇〇(日)」を表しており、オルゴールの配置は、各月毎に固まって吊り下げられています。展示室の入り口に近い所は、11月刻印のグループだ。時計回りにまわって、自分の誕生月の辺りに来たら、一つひとつフレームの裏に打刻された日付を確認してみましょう。薄暗い部屋で、細い打刻文字を読むのは、少々しんどいですね。
自分の誕生日が見つかったら、ゼンマイを巻きます。シンと静まり返った部屋に、「Happy Birthday to you」のメロディーが、優しく流れてきます。他のオルゴールも鳴らしてみましょう。友人と一緒なら、それぞれの誕生日オルゴールのゼンマイを巻いて、Happy Birthdayのカノンを楽しむ事もできます。

広い展示室いっぱいに吊り下げられたオルゴール
DSC_8282_convert_20170126224543.jpg

DSC_8199_convert_20170126224309.jpg

フレームの裏には、月日が刻印。(写真では、小さくて見えないですが)
DSC_8206_convert_20170126224341.jpg

この位、拡大すると日付が見えます。
DSC_8464_convert_20170129013232.jpg


来場者の方が、誕生日の刻印を探しています。
DSC_8212A_convert_20170126224728.jpg

DSC_8289_convert_20170126224504.jpg

レセプションの時の神村泰代さん
DSCF3756_convert_20170126224152.jpg
スポンサーサイト



アーツチャレンジ2016高松明日香

アーツチャレンジ2016高松明日香
期間: 2016年2月23日(火)〜3月6日(日)
場所: 愛知芸術文化センター  
高松明日香  : 《Details》

愛知芸文センターの地下2階・通路壁に、大小様々なサイズの絵画が並べられていた。何かの場面を描いていると思うのだが、少々眺めていてもわからない。風景もあれば、室内やテーブルの上のもの、その周りに人、等々、何の”Detail”なんだろうか。で、高松さんに聞いてみた。
DSCF0958_convert_20160327111506.jpg

「これは、主にSF映画のDetailというか、SF映画、またはSFじゃなくてもSF的に感じる映画の一場面を切取って、絵にしました。例えば、《デジャブ》っていう作品ですが、これは「バックトゥーザフューチャー」(以下BTF)ですね」
◇《デジャブ》
0951dejavu_convert_20160327112139.jpg

「BTFの場面を使った作品は結構あって、その瓶が並んでる《新ビル群》や、この窓の《兆候》がそうです」
◇上《新ビル群》 下《乳製品の丘》
DSCF0952_convert_20160327111351.jpg
◇《兆候》
DSCF0963_convert_20160327111601.jpg

あの手紙を書いてる《あなたへ》もそうですし、あの端の塊は全部BTFです。
◇《あなたへ》と小作品群
DSCF0968_convert_20160327120601.jpg

結構、BTFばかりの様に見えますが、SFシーンだけじゃなくて、何か関係性を感じるものも取り上げています。例えば、この作品《惑星間であるいはその惑星の中に》だとローソクとローソクの関係とか、その人物とレモンとかです。
◇《惑星間であるいはその惑星の中に》
DSCF0955_convert_20160327111434.jpg

その隣の《新ビル群》だと、瓶(ビン)同士の関係とか。背景と人物の関係とか、なんかこうテレパシーで関係しあっている様な、イメージって言ったらいいんですかね」
-それは映画のストーリーとは別ですか?
「映画のストーリーとは、全く関係ないです。そのシーンから自分が感じた事です」
-《アンテナ体》を見ていたら、映画のシーンを見たままでなくて、加工しているのがわかります。空の部分で木(の上部)がカットされているから、映画の1シーンの画面そのものではないですね。
◇《アンテナ体》
DSCF0965_convert_20160327111636.jpg

「そうです、組合せてます。組合せているのは、この《アンテナ体》と、《乳製品の丘》みたいに、背景と手前を組合せたり、あと手紙を書いている《あなたへ》も、奥の風景は残しているというか、手前の部分と奥の風景は別のシーンから抜き出しているんですね」
◇《乳製品の丘》
0952milkprod_convert_20160327112201.jpg
◇ 《あなたへ》
DSCF0969_convert_20160327111740.jpg

-気に入ったシーンを単に切取ったそのものではなく、自分の意図した画面を作ろうと・・。
「混在してますね。なんて言いますか、あまり意図的過ぎるとわざとらしくなってしまうので。何かを組合せて作品にしたいというより、たまたま合うなーと思って合わせた、っていう感じでしょうかね。何かこうしたいという像があって、それに近づけて行くんじゃなくって、そこにあったものを、たまたま合わせたみたいな」
-たまたまいい(シーン)のがあったから持ってきたみたいな
「そうです。そんな感じです。船の港のシーン、船乗り場の場面だった(ような)、何か旅立つみたいな風だなーって思って、合わせたかったという」
-いろんな映画を見ていて、あぁ、あのシーンがいいかなとか思い浮かべたと。
「そうですね、とりあえずプリントして出してみて、いろいろ見ながら、壁に貼ったりとかしながら、これとこれは、いいかな-とか。描きながら決めたり」
-どうしてもあのシーンが、というより、いろんな素材を並べていくという
「ま、プリントするまで行く画像は、やっぱりどれも気に入っているものなので、お気に入りのカラーに合わせてるという方が近いです。そんなに気にならないものなら描いてないです。どれもこれも気になる、みたいな」
-少しぼやーっとなっている《伝言》は、スターウォーズの一場面ですか?
◇《伝言》
0966message.jpg

「あ、そうですね。お姫様が、メッセージを言うシーンですね。
当初、チラシを印刷する段階では、(この展示全体をDetailsでなく)《スペースオペラ》っていうタイトルを考えていて、もうちょっと描くものも宇宙っぽくしたいなーっていう構想があったんですけど、描いてるうちに、でもそうじゃないなーっと思って。この作品《伝言》は、ほんとに最初の方に描いたものなので、ちょっと名残が、残っている感じです」
-ちなみにY字のあの木の作品《アンテナ体》は、どういう映画なのでしょうか
「これは「ドンファン」っていう、そんなに有名じゃない映画ですけど、主人公は、あのパイレーツオブカリビアンの人、ジョニ-・デップなんですけど、あんまりヒットしなかったです。面白かったですけど」

※「ドンファン」 (1995米映画):
  スペインの伝説上の漁色家ドン・ファンが現代に甦った話

「なんかその、外国の人は、庭をわりとオープンな感じで作ってるって言うか、何かの象徴として家がよく出て来るんですね。この間見た映画「007スカイフォール」でも、自分が生まれた家に帰るというか、家の中で繰り広げられる事。どっかに出かけるわけじゃないけど、家族のやり取りとかも、全部その家の中で起こるみたいな」
-(スカイフォールでは)最後は、家に戻って決着をつける・・
「そんな感じです。回りまわってまた帰るみたいな。なんかそれが、家の中の風景につながるって言ったらいいんですかね。《バリア内》の窓の感じ。あれは内部から外を見ている、何か内と外みたいな。はっきりこうだと言えないですけど」
◇《バリア内》
0962Barrier_convert_20160327112227.jpg

-(絵を並べているが)全体としてのストーリーはあるのですか?
「そうですね、ストーリーは、取り立ててこの人物がこういってこういってていうのは、無いんですけども。でも何か、繋がっているきざしが」
-全体として繋がっている気持ちが・・
「そうですね、気持ち、まさにそうですね。今、並べて見て、自分で見て見ると、例えばあの《アンテナ体》という大きな作品の横に、似た様な木を、描いている時には気が付かなかったんですけど、この構図似てたんだなとか、それを繋ぎ合せて、こう、アンテナの横にアンテナがある、テレビがあったり。なんかこう、描いている時は気が付かなかったんですけど、なんか繋がってるなーっていう。その下は、受信されたものみたいのがあったり、何かうまく表現できないですけど。明確にストーリーがあるわけじゃないですけど、何となく繋がって」
◇《アンテナ体》と小品群
DSCF0966_convert_20160327111709.jpg

-繋がりつながりで来ているというか
(※他の人も会話に加わり)+景色だとか、人だとか、その選び方はどうやって。一般に、風景描く人は風景を、人を描くなら人、そればかりだけど、作家としてこれはどんなこだわりで選んだんですか。
「こだわりは無いわけでないですが、卓上に広がる風景、みたいなのに興味があったって言ったら良いんですかね。誰かが何かをした跡の様な。箱庭みたいなイメージですかね。そこには「手」がないと作れないし。大きく言えば映画のワンシーンを描くというのがあるので、それが大元で、あんまり内容、人がいるとかいないとかには、そんなにこだわらないです」
+自然とか生物に焦点あてるとわけでない。
「展覧会毎に、例えば自分でテーマを設けて、今回は女性を描いてみよう、みたいな時は女の人ばっかり描いたりしますけど、今回は、もうちょと大きく捉えたかったので、いろんなものを描きたかった」
+アーツチャレンジに向けてのシリーズで?
「あ、そうですね。全部この壁の為の作品ですね」
+(最初から)この壁だと分かっていたわけでないでしょ。
「11月にはもうわかっていたので、それから(せっせと作った)」
◇キャプチャ側からの全体
DSCF0950_convert_20160327111250.jpg

-パッと見ると色合いが、少し淡い感じがするんですが、それは意識してですか?隣(水野里香さん)は、ハッキリした感じですが。
+暖色系は使わない?
「赤とかも使いますが、描いていると自然に青系統に寄って来るという癖があるのと、後は黒色を使わなくって、黒っぽいところは混色して作っています。あんまりガクンと(色彩・明暗の)差が出ない様にしています。一層、膜があって、その向こうにある様な。描いているものも膜があるし、自分と絵の間にもスクリーンがある様なイメージといったらいいのか。それで薄っぽいというかグレーの感じに。距離があるというか」
-境界を隔てている・・
「向こう側というか。自分を表現するという気持ちで描いているのでなく、自分の気持ちを画面にぶつける、というスタイルを持っているわけでないので。なので、ちょっと透明なって言う気持ち」
+あれは実物置いて、写真で?
「画像ですね。(映画の)画像をプリントして、映画のワンシーンを描いているので、画像を見て描いてます」
+本当に映画のワンシーンにあるの?
「本当にあります。この《惑星間であるいはその惑星の中に》は、カラヴァッジョっていう(1600年頃、バロック絵画)画家の映画で、弟子が、なぜかわからないですが、レモンを切ってました。あのナイフは、スパチュラっていう、絵具を練る道具なんです。右側に石の上にナイフが乗ってて、黒い絵具を練った後みたいなのがあるんですけども。(天才画家だが訳あって)殺人を犯すという、デレク・ジャーマン監督の映画です」
◇《惑星間であるいはその惑星の中に》
DSCF0955_convert_20160327111434.jpg

「他に、バックトゥーザフューチャー、スターウォーズ、インセプションとか。《幕間》の水しぶきは、デカプリオが出ていた映画インセプションの一場面です」
◇《幕間》
DSCF0961_convert_20160327120523.jpg

「こだわらずに沢山いろんなものを見ています。《ワイプ画面》の横顔は、マイフレンドフォーエバーという映画で、丁度ボートに乗ってて橋の下をくぐって見上げているところです」
※「マイフレンドフォーエバー」(1995米映画)HIV感染の少年との友情物語
◇《ワイプ画面》
0962Wipe_convert_20160327120432.jpg

◇高松明日香さん
DSCF1528_convert_20160327111814.jpg

アーツチャレンジ2016田口友里衣

アーツチャレンジ2016
期間: 2016年2月23日(火)〜3月6日(日)
場所: 愛知芸術文化センター

田口友里衣(タグチユリエ) : 《here or there》   
     - 曖昧な存在を証明する行為-

タイトル《here or there》は、「こちら側又はあちら側」といったどちらとも付かない、その境界の様な場所だろうか。11階展望回廊の窓枠に、小石を少し積上げ、その上にワイヤーで繋いだガラス玉のオブジェが並べてある。
DSCF1092_convert_20160317005446.jpg
田口さんは、こうしたガラス玉を使用した作品やインスタレーションを多く制作しており、ガラス作家とも呼ばれているそうだ。小石を重ね、その上にガラス玉をつなげた枝を立てた、この形は、仏舎利(ぶっしゃり)又は卒塔婆(そとうば)と呼ばれるものをイメージしている。
※参考)仏舎利:お釈迦様の遺骨を納めた丸屋根の仏塔と、その上に相輪(柱)を立てたもの。
Stupa_Net.jpg

 展望回廊からの外の景色はとても良く、それを見に来る人も少なからずいる。その中で、窓枠に置かれた小石とガラス玉の作品が存在感を示すのは、なかなか難しい要件である様に思う。しかし、外からの光とガラス玉の相性は良く、繊細な造りの作品ではあるが、重厚なビル群に対して、ささやかな輝きを見せ、人目を引いていた。
DSCF1093_convert_20160317215710.jpg
DSCF1095_convert_20160317010443.jpg
DSCF1096_convert_20160317010512.jpg
 窓ガラスを挟んで、視線が、ガラス玉の輝きに行ったり、外の風景に行ったり、こちらとあちら(Here or there)をさまよう。ちょっと腰をかがめ、ガラス玉の柱の並び越しに、外の風景を眺めている鑑賞者も何人か見受けられた。こちらとあちらの風景の境目の曖昧さを、楽しんでいるのだろうか。
DSCF1100_convert_20160317214418.jpg

展望回廊を奥へと進むにつれ、小石の積上げが増えてきて、作品の自己主張が強くなっているようだ。
DSCF1104_convert_20160317205813.jpg
DSCF1106_convert_20160317205901.jpg
DSCF1107_convert_20160317205359.jpg
DSCF1111_convert_20160317010332.jpg

芸大の造形科工芸コース(ガラス)で学んだ田口さんは、ガラスへの思い入れもある様だ。
「私は工芸コースに居て、ガラスを学んできたのですが、“工芸品を作りたいわけでない”という悩みがありました。でもガラスが好きなんです。ガラスの単純なきれいな部分がすきなだけでは無くて、構造として、固体ですけど液体の分子構造を持っているので、準安定物質(アモルファス状態)と言われる事に興味をひかれます。そう言った言葉を自分の中では「不安定」と言う言葉に置き換えています。いつかは形を失って消えてしまうかもしれない物と捉えたんです。「準安定」とは、ガラスが、理化学的にそう言われているだけです。全てのものは、いつかは消えてしまう事から、全てのものはガラスであると言えますし、私自身も含めて表現できるなと思いました」

窓の反対側の壁にも作品が掛っています。これもタイトルは、《Here or there》
DSCF1267_convert_20160317210122.jpg
DSCF1264_convert_20160317212958.jpg

この作品の“こちら側とあちら側”は、時間軸上での異なる位置を表している。
板の少し上に、ガラス玉を針金で固定します。日が射すとガラス玉は、白い板の上に薄い影を落としますので、その影を記録します。
「今、この瞬間の存在は、過ぎ去った全ての過去の一瞬の元に成立っています。また次の瞬間、先の未来へと繋がっていきます。“影を追う”という作品です」
過去の日付の作品が並んでいますが、会期中の土日は、ここで公開制作も行っていた。作品の並びも、過去から未来への流れになっている。

************<インタビュー2/28>***************

-ガラス玉の影を追う作品は、日が落ちると、影は上の方に行って・・
「そう、上に行って消えてしまう感じです、この場所は。(影は)上の方(に行って)で消えます」
IMG_3862_convert_20160317213251.jpg

IMG_3858_convert_20160317213137.jpg
IMG_3859_convert_20160317213210.jpg
IMG_3860_convert_20160317213228.jpg

-窓側のガラスの玉ですけど Here or there こっちとあっちと言うのは、風景と(窓のこちら)って言う感じで。
「そうですね。私、こう見て欲しいというのあんまり無くて、あくまで自身の中の話なので、皆さん見る方の中で、Here & There があると思います。自分としては、この目に見えている街と足元、更に、それが自分の死んだ後とか、生まれてきた前とか、行った事無いですけどいつか行く場所っていうので。ここかそこか、また更に向こうまで考えていける様な空間かなと。ここはホワイトキューブではないので」
-風景と、窓を挟んで手前にガラス玉がある(それを通して外を見る)。 この形が仏舎利のイメージだとすると、あの世とこの世の境目、とも言えるでしょうか。
「そうですね、自分の思いとしては、今ここを見てても、この場所は変化してきた場所だし、変化していく場所だし、その頃には自分も変化しているかもしれないし、しないかもしれない。あくまでいろんなものの形をかりそめていって、で一番そういったものを自分の中で形として落とし込める形が、ストゥーパ(仏舎利)、魂の入れ物の形だと思っています。何か形を作らないと作品として残せないので、何かを作りたいんですけど、その何かを、自分の中でずっと探っていました。そして、今一番落とし込める形が、その仏舎利の、仮初の形、魂が仮に入っている形だなと。自分のコンセプトの一番スッとくる形だなと思っています」
IMG_3863_convert_20160317213314.jpg
田口さんの右の耳には、三つ目の作品(ガラス玉のイアリング)が光っている。

アーツチャレンジ2016伊藤久也

アーツチャレンジ2016
期間: 2016年2月23日(火)〜3月6日(日)
場所: 愛知芸術文化センター

伊藤久也 : 《悪のカタチ》
-誰しも心の中に少なからず
 持っているであろう悪という存在。
 そのカタチについて幾つかのケースを
 集め、探っていく-

『皆さんには、それぞれの心の中にある「悪」について向き合っていただいて、それを粘土によってカタチに表していただきます。また、皆さんの「悪」についてインタビューさせていただきます』というワークショップが2月にあり、そのインタビュー映像と焼成した粘土造形を作品として出品している。
DSCF1131_convert_20160305111428.jpg

 ワークショップは、ここ愛知の他に、東京、神奈川でも行われた。WSの参加者は、小さな子供からおじいさんおばあさん世代まで様々で、作家の言う「心の中の悪」の捉え方もいろいろだった。何より粘土で作った悪の姿も、トゲトゲだったり、長い牙の大きな口やエイリアンの様に体内から出てきたり、バラエティに富んでいた。
 粘土の焼成は、言ってみれば野焼きで行われた。空地で焚火の様に火を起こし、その周りに置いて乾燥させ、徐々に火の中に入れて焼き固める。それで灰が付着し、所々黒ずんでしまったものある。しかし、うまく乾燥させる程の時間の余裕がなく、火に当って割れてしまったものもあった。
DSCF1135_convert_20160305111512.jpg
DSCF1140_convert_20160305111649.jpg
DSCF1138_convert_20160305111546.jpg
 ↓「焼成の時、爆発しました」(作家)
   (「中から悪が飛び出したのか」との質問もあったが、そうではない)
DSCF1327_convert_20160305111809.jpg

 インタビュー映像では、WS参加者が、なぜこの様な「悪の形」を作ろうとしたのか、また自身の「悪」について語っていて面白い。
DSCF1349_convert_20160305112213MOZ.jpg
DSCF1147_convert_20160305111727.jpg
DSCF1348_convert_20160305112136.jpg
DSCF1334_convert_20160305111859MOZ.jpg
 見ていて少々引っかかったのは、「悪い事(悪い行い)」と「悪い心」の話が混在している様に思えたからだ。よく聞かれた話題は、昔こんな事をしたとか、「若い頃は、悪い事するのが楽しかったし」とかの様な、実際に行われた「悪い事」の説明が多かった。その時、彼の心の中には、「悪」が存在したのだろうか。
 例えば、大人がコンビニで菓子をポケットに入れたら犯罪(悪事)で、その人の心の中に「悪」がいると多くの人は考えるが、よちよち歩きの小さな子が、菓子を1個摘んだとしても、その子が悪人であるとは思わない。欲しいと思ったので、手に取っただけ。結局、心の中に「悪」がいると判断するには、社会のルールの理解が前提になってくる、と思う。社会のルール(やってはいけない事)を理解し自覚した時、その影として心の中に「悪」が生まれるのかもしれない。
 普段はあまり考えもしない事だが、粘土作品や映像を見て鑑賞者に「悪」について考える機会を提供するのが作者の意図なのだろう。

このくらいの子には、「悪の心」は全く感じられないけど。
DSCF1525_convert_20160305112323.jpg

アーツチャレンジ2016水野里奈

アーツチャレンジ2016
期間: 2016年2月23日(火)〜3月6日(日)
   ※2月23日(火) 見学ツアー 14:00-15:30
場所: 愛知芸術文化センター

水野里奈 : 《繋がりをもって絵画を構築すること ―アノ味はこの風景―》

水野さんの絵のキーワードとなるのは、中東の細密画(装飾性)/水墨画(筆致)/キャンバス地(無着色)、そしてそれらが重層的に織りなす複雑さ。多視点表現と目の錯覚による、『見ても見きる事の出来ない』作風が特徴だ。

      [Capture] 味覚から絵画へと反映させる試み
Capture_convert_20160302234245.jpg

「普段こういった絵画を描いているんですけども、最初にモチーフがあったり、こう描こうと決めるわけでなく、いろんな要素を(思いつくまま、組合せて)描いています」
             《FLAVOR》
DSCF0975_convert_20160302234019.jpg
             《SCENT》
DSCF0976_convert_20160302234050.jpg

「今回は一個何か軸になるものを(決めて)作ったらどういう事になるか、を試しました。普段、絵を描くときは、下書きとか完成度を決めない代わりに、音楽を聞い(てそのイメージを浮かべ)たり、食べ物の持つイメージを(参考にする)というのがあります」
「ここにふたつ飴の瓶があります。これはデザインと味を決めて、特注したものです。飴の中央に書いてある言葉、「FLAVOR」と「SCENT」(香り)は、絵画の題名になっています。それを食べながら一枚の作品を描いたのですが、会場に来ていただいた方にも食べてもらって、どう感じるだろうか、という試みです」
   「FLAVOR」
DSCF0979_convert_20160302234122.jpg
   「SCENT」
DSCF0974_convert_20160302233949.jpg
「中東の細密画と言うのがあるんですけど、王様とか肖像がすごく細かく描いてあるものがあるんですけど、そういう細かさだったり。それから普通、キャンバス地というのは、“白“なんですが、私は白い顔料が付く前のものを取りよせ、それによって、描かないところも描くという意識を持って、(キャンバス地そのものも)絵の要素に入れた作品を作ってきました」
DSCF1219_convert_20160302234206.jpg

「味覚と言うのは結構、感覚的なものだと思うんですけど、直接その場で体験できるという事なので、制作過程の合間の状態を体験できる様な感じです」
「こちら《FLAVOR》は、ライチ味で、《SCENT》は、ヨーグルト味です」
IMG_3870_convert_20160302234323.jpg

Q1)いろんなものが(モチーフ)描かれているが、どの様にして集めて来るのですか?
「描いてある、例えばソーサだったり花瓶だったりは、実際には(目の前には)無いんです。制作する場所のひとつの壁に、ポストカードだったり、自分の好きなものを沢山飾ってあります。それらを週に一回、替えたりして、制作する環境にしています。視界に入って来るのが沢山あるので、そういうものが(絵を描く時に)出てくるのかもしれないです」
Q2)身のまわりにそういうものが置いてあるという事ですか
「そうですね、ほんとに描きながら、絵を決めていくので、自分でも完成図がどうなって行くのか、探り探りの状態なんです」
-水野さんの作品を見ていると、楽しみながら制作しているなと感じるんですけど。
「そうですね、自分にあった形を出しながら」
-好きなものを壁に貼ってある、そういう制作環境なのですが、それを厳密に写し取るわけでなく、好きなものに囲まれて好きなものを描いて行く、素直な感じがして、見ていて気持ちが良くなる作品です。
「色にはこだわりがあって、全部チューブからのままの色は使っていなくって、制作する前に、30分~1時間、色を(混ぜ合わせて)全部オリジナルで作ってから描きます。ほんとにちゃんと納得した色で、納得した場所に置いて描いています」
プロフィール

ゆでたまご

Author:ゆでたまご
鑑賞者の目で現代アートを探求

最新記事
訪問者数
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
訪問者数
訪問者数