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高橋コレクション(名市美で女子会)その4

4月27日、名古屋市美術館 高橋コレクションMindfulness! に出展している4人の女性作家(名知聡子さん、和田典子さん、松井えり菜さん、近藤亜樹さん)のトーク 「その4」(最終回)です。
最後は、和田典子さんです。

和田典子)皆さん、だいぶ疲れてきてしまったかもしれないですけど、私が最後です。よろしくお願いします。
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私が最初に、これと、ここにある小さな蝶の作品と、このペインティングとこの髪の毛の立体作品になります。私の作品はですね、最初、制作年が、バラバラで、この蝶々の作品は、2002年の作品になります。大学の卒業制作の時に作った作品なんですけれど。あの、そうですね、前後が判りづらい作品になるので、作品がどの様に作られているかという説明をしたいと思います。
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と、この小さな作品は、標本の蝶々で、ほんとに、ま、生きていた蝶々なんですけど、それに鉛の粒を、後で近くで見ていただけるとわかると思うんですけど、鉛の粒がこう付着している作品になります。
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これが、ベッドの作品になりまして、私が元々寝ていたベッドですけど、それをノミとかでトントントントン、あの、半分壊していって、で、もっと大きかったんですけど、それもだんだん小さくなっていって、そこにあの、こういうケーキの、ホイップクリームの、こういうのですね。あの、沢山カラフルなものが付いています。
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で、これが一番最近の作品なんですけど。これは油絵の作品で、あの、いちおうここがですね、ベッドになっていて、シーツの中にふたりの女の子が、こう隠れて遊んでるヨっていう作品になっていて、two girls in the bed sheet っていう、まタイトル見るばわかるんですけど、ま、シーツの中で女の子遊んでいるという作品になります。
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で、これがですね、みんな今回一緒にトークする作家さん達からですね、これ怖くていやだっていう事を言われて。私も久しぶりで見たら、何でこんなの、自分でも、作ったのかなって言う風に思ったんですけど。あの、髪の毛に、近くで見ないとわかんないんですけど、光って見えるのが、縫い針が沢山刺さっていて、ほんとにもう何千ていう縫い針が、沢山刺さっている作品になります。ハイ。
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笠木)ありがとうございました。
松井)あ、じゅあ和田さんに質問だど。久しぶり、和田さん。(ヘヘヘヘヘ)
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私もこれ、あ今、私、「髪(イミテーション)」(Caption)て言うのを見て、すごくわたしあの、親近感が。なぜなら今、私もかつらなんです。(ハハハハハハハ)はい、かつらー。たぐって。最初、なんかあの、和田さんの作品をパッと見た時より、何かこの、より感情移入できるというか、説明も聞いてよかったーって思いました。あ、すいません(かつらを)戻せない。和田さんは、素材に対しては、こだわりはありますか?
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和田)そうですね、あの、私もともと大学でも油絵を学んでたんですけど、ある時から、普通に大学1,2年生の頃とかは、普通に決められた課題と言うか、いわゆるデッサンとか、油彩画っていうんですかね、っていうのをやってたんですけど、だんだん、こう絵が描けなくなってきて、もっと自分により、こう、リアリティを持ったものは何だろうっていう事を、だんだん深く考え始めた時に、ホントにアトリエで、すごい小さな事から始めて、紙を切ったりとか、せんたい(?)を色分けしてみたりとか、すごい些細な身体感覚っていうのを見直していて、そこから自分の幼少期の頃のイメージとかそういうものが組み合わさって、徐々になっていきましたね。その当時、すごく考えていたのは、素材と素材、モチーフとモチーフも組み合わせる事で、何かまた別の意味が生まれないかなっていう事を考えて、作っていました。
松井)ありがとうございます。すごくこのイミテーションヘアに、ぐっと、ハハハハ、きました。じゃ、亜樹ちゃん。

近藤)なんか和田さんの作品は、ちょっと、・・・やっぱ、物の怪みたいな(のが)強いなって思って。特にこれとかすごい気持ち悪くって。針で膨らんでるんですよね、髪の毛が。
和田)そーですね、何か、膨らんだとこ刺して、ハイ。
松井)本物見ないとこれ、わからないね。
近藤)なんか、トラウマでもあるんですか?(ハハハハハ)
和田)そうですね、あのー、針と言うのは、自分の中で、トラウマとは言えないかもしれないですけど。母親が、家で洋裁の仕事をしていたので、針とか糸とかそういったものがすごく身近にある環境で育っていて。で、ある時、針、飲み込んじゃうかもしれないとか、そういう事があるみたいな、新聞の記事か何かを見て。本当に子供の頃なんですけれど、自分も縫い物とか、遊びでやったりとかした後に、なんか針の先が欠けていたりとか、そういう事でなんか気分が重くなったりとか、あの欠片はどこに行ったんだろうとか、そういう思い出はありますね。
松井)これは、恐怖心とかが含まれているんですか。
和田)そうですねあのー、わりと全体的に、日常の中にある些細な不安感とか、まあ、恐怖感とかをテーマにしていて、そういうとこが、強く現われているかもしれないです。
松井)でも名前、happiness じゃね? ヘヘヘヘ
和田)そうだけど幸せな感じで。(「表裏みたいな」)そうです。
近藤)シャイニングの映画みたいに、怖いね。
和田)シャイニングは、すごい好きなんですよ。
近藤)笑ってるけど、憎んでいるみたいな。反対の感情が出ているなと思って、全部。
和田)怖い映画とか、んーでもすごいグロテスクななんか、ワーッとか・・そういうのではなくて、静かな中で、何か精神的に訴えかけるような怖さと言うか。(「それが一番こわいですね」)
名知)この髪の毛、自分の髪の毛?
和田)髪だけに質問が集中して・・。(ハハハハ) 本当は自分の髪だけでやろうと思ったんですけど、予想以上に量が必要で、形を作るのに。それでま、イミテーションでもいいかなと言う風に、イミテーションで作りました。
名知)この絵なんですけど、ま私は共同アトリエで横で制作してるの知ってたんですけど、具体的にやっぱ、やっているところジーっと見た事無いから、この色を載せる順番とかルールとかがあるんですか?それともその時の気分とか勢いでやってるのか、と言うのが何となしに。
和田)そうですね、私こう、突発的に描いている様なふうに思われ勝ちなんですけども、意外と下書きとか、色の配置とかも決めていて(「してるんだ、なるほど」)、でこれ、ベッドの中に女の子が二人いるって、さっき言ったんですけど、あの私、立体作品作っていたので、自分の等身大の布の縫いぐるみみたいの作った事があって、(近「こわーい」ハハハ、松「しっしっしっ」)そいつを、あの、シーツの中に入れて、まこれ、二人だったんで、私もこう入って、写真を撮ってもらって、布のこの、皺の入り方とかそういったのを写真で撮ってみたりとか。わりと、あの、ちょっと小心者なのかもしれないですが、最初に結構、計画を立てつつ、始めて、で途中からでも、計画通り絵って言うのは行かないので、途中からはもう、その場その場に合わせて、色とか作るんですけど、ま、最初の気持ちに立ち返りたいなっていう時は、その下書きをもう一回見なおして、制作したりとか、って言うふうにしています。

笠木)ちょっとね、その、名知さんと共同のアトリエの時代の、お写真を。用意していたんだけれど・・・・。え・・・、これが共同のアトリエの・・・。
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和田)名知さんと2007年くらいだったと思うんですけど。あまり写真とか撮ってなかったんですね。(「あ、来た。すごいちぃっちゃくて申し訳ないですけど」)ちっちゃい写真しかなかったんですけど。上小田井にある「ドット」という、私よりももっと先輩のアーティストが、立ち上げたスペースに、自分が大学院を卒業した後、入れてもらいまして、そこで制作をしたんですけども。
すごく広いスタジオで、私も名知さんも、その他、7~8人、全部で10人くらい。あの、十分な作業が出来るぐらいのスタジオを、ま、入れてもらいました。ただ、ちょっと事情によりですね、立ち退きに会いまして、今はもう無いんですけども。その時に、やっていたのがここですね。これで見ていただくと、スケールが判らないんですけど、この絵が、この絵くらいの大きさなので、かなり天井も高くて、3mとか3mちょっとあるくらいのスタジオで、ま、伸び伸び制作していました。
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ま、共同アトリエの良いところと言うのは、(「これですか」)ハイ、あのみんなで作家同士で、たまには食べたり飲んだりして、遊んだりとか、誕生日の子がいたら誕生日会ひらいたりとかして、そういう作家同士の交流とか、あまり美術の話とかあんまりしないんですけど、ま、楽しく遊んだりする仲間って言う風に。(「これ料理すごいね」)ハイ、あ、この料理はですね、オープンスタジオをやった事があったんですけど、何回か、その時に私が沢山料理を用意して、
松井)私は料理弱いよ。すごい!私これ料理で、手切ったんですヨ。(ハハハハハハ)
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和田)沢山もう三日間くらいずっと作り続けて、冷凍したりとかして保存して。その場に来た人が、当時ほんとに沢山来ていただいて、100人とかワーッて来てくれて、その時みんなに、みんなが嫌になる程食べさせるという・・(ハハハハハハ)。そういうアーティスト同士の交流が、ま、醍醐味かなーって思います。ここスタジオが、無くなってしまって、私も、もう共同スタジオとかを持つ事は無いかなーっていうふうに、あの諦めて自宅で描いてたりしていたんですけど。そんな時ですね、あの、名古屋のここの近くの長者町って皆さん、名古屋からいらした方は、あいちトリエンナーレでお越しいただいていると思うんですけど。あの、長者町のスタッフの皆さんとかですね、街の方が、すごく優しくしてくれて、ですね、スタジオを、場所を提供していただきました。これが、あの、長者町の、(あいちトリエンナーレ)2010の時に展示をした青田真也さんっていう作家が、いらっしゃるんですけど。青田くんと私とで、二人の共同スタジオと言う事で、借りていました。ま、ここはすごい素敵な場所で、下がパン屋さんで、あの冬は、パン屋さんの暖かい空気が上に上って来て、芯から冷えるという事は無く、使わせていただいたスタジオです。
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松井)すごい、うちら向かいがうどん屋さんだよね。ハハハ
和田)こっちのあの、過去のスタジオはほんとに、工場見たなとこだったので、冬は体調くずしたり、つらい、何か、までも、場所が広くてすごい良かったですけど。ハイ、そんな感じで、制作してます。
笠木)ありがとうございました。和田さんの作品て、料理もそうなんですけど、このベッドも髪の毛も、ごく一見可愛らしい感じなんだけども、こうぶわーっと過剰になんか装飾がされていたり、過剰になんか針が刺されていたり。料理もこんなに美味しそうなのに、みんなが嫌になる程、過剰にこう食べてもらうだけの量を食べさせる、という、そういう相反するところが、あるところがとても魅力的かなーと思うんですけれども。

会場の皆さん、何か、質問ありましたら。
質問A)かなり計画的に制作されると言われましたが、このベッドはどの様に計画されたのでしょうか。
和田)これは、あのー、こういう形にしようというのは、頭の中にあったんですけど。あのー、立体の時はですね、あまり計画的に作っていなくて、あのホントにドローイングもしないし、やってみてから考えるっていう事が多かったんですけど、この色に関しては、あの、よく近くで見ていただくとマーブル模様になったりとかしているものがあって、それは絞り出す時に、大体こういう感じになるといいなって言う色の組合せで、マーブル模様を作っていたので。あの、これはホントに、予期しない色というか混ざり合いっていうのが、生まれてますね。

質問B)和田さんが、(和「あ、スタジオとかでお世話になった方で、ハイ」※注:元アートラボあいちのスタッフの方)描いているこの絵画のシリーズがすごく好きで、そのシーツの中にくるまれている、何かがうごめく様って、さっき言ったちょっと怖さも感じるんですけど、色がすごく可愛らしくて。たしかこのシーツのシリーズを見たのが、アーツチャレンジ2009(か2010)の時だったと思うんですけど、こういうモチーフにしようというきっかけがあったのかな、と言うのと、このシーツのモチーフの後に、ケーキの、あそこに写っている写真とかは、ケーキがモチーフになってたりするんですけど。このモチーフが変わっていくきっかけとか、タイミングとかは、あったら教えてください。そこは、リボン・・。
和田)丁度資料があって、わかりやすい感じなんですけど。ずっと立体作品を作っていて、絵を描き始めたのが、多分、2008年とか2009年で、随分大学卒業してから日にちが経っていたんですけど。何となく今なら描けるかも、っていう、あのー気持ちが湧いてきて、それで最初に描いたのが、このリボンの作品でした。で、あの、リボンは、あ、ここには展示されてないですけど、蝶々もちょっとリボン的なものですけど、モチーフとして自分の中で、よく使っていたもので、まそれをリボンっていう装飾的なものをよりカラフルに描いて、より装飾性が強い絵を描こうという気持ちがその時あって、それでリボンを描き始めたんです。けど、リボン描いていたら、もっと複雑な絵が描きたいなーって言う気持ちがだんだん湧いてきて、こういうベッドのシリーズか、部屋の風景のシリーズに移って行ってきました。このシリーズも何枚も描いたので、あの、ここのスタジオでもシリーズの絵を、大きいのを描いてたんですけども。その時、夏場ですごく暑かったんですね、スタジオが。で、その時、150号ていう大きめの絵を描いてたので、そのだんだん大きい絵に、こう、筆を、結構体力を使うので、だんだん辛くなってきて、それでこうなんとなく、ホントになんとなく始めて、ちょっと疲れたからちっちゃい絵を描こうかって事で、ドローイングをしたりとか、小さいキャンバスを貼って、昼間の暑い時間は何かこう別の事をやろうっていう時に、偶然生まれた作品で。まあ、ケーキもこう言ったものと、昔の立体作品ともモチーフが共通していたので、これもシリーズで描きました。これもふとした、何の気なしに変わってしまったもので。(B「身体的にこう、その時のこう気持ちとか、体の調子とかで、ふぁっと移行した」)ふぁっと移行してしまいましたね。
笠木)時代は経っているけど、どこか装飾だとか、おっきなテーマとしては、つながりがありますね。
和田)今回、随分、制作期間が離れてしまっている作品だったので、一緒に展示して大丈夫かなって不安があったんですけど、なんとなく、あの、自分でも並べてみて、振り返れて、そんなに違和感ないかなって思いました。

笠木)ありがとうございました。それでは折角ですので、今後の活動、私たちはどこで皆さんの作品を見ればよいでしょうか。
和田)私は、近々で決まっているものが無いので、何かあれば呼んで下さい。(「和田さんは時々ワークショップをやったりするので」)あーワークショップですね。
松井)私、先ほど出しゃばって言ってしまったんですけど、一応、大原コンテンポラリーは、武蔵野美術大学の美術館で、あと秋田県立美術館でこれはまた、秋田県立美術館の何周年か記念の大原美術館展で私の作品が、でます。なので、日本、バラバラに散らばっているんですけれど、また名古屋に帰ってきたいので、名古屋で展覧会がある際はぜひお誘い下さい。よろしくお願いします。
近藤)今(4/27)丁度やってるんですけど、三重県立美術館で「ア・ターブル!」っていう食べる展示に特化した展示会がやっている(作品「たべる地球」2012)のと、次は、映画を撮るので、皆さん出来上がった来て下さい。(笠「監督から脚本までやってらっしゃるんですね」)監督と脚本と出演は、まあ声優で出てますけど。ガチの俳優さんがいっぱい出るので、皆さん来て下さい。(笠「タイトルは」)それは、まだ。“きゅうばん“(?)系の映画かな。
名知)私はいま、しばらく展示の予定がないので、皆さんあの、誘って下さい。

笠木)ありがとうございました。これからも皆さんの作品を見ていきたいと思いますので、宜しくお願いします。
皆さんも、長い時間、ご清聴ありがとうございました。

===========<終>==============

和田さんの絵画作品をどこかで見たような、と思っていたら、アートラボあいちに展示されていたのを思い出した。(因みに、名知さんの作品も展示されていた。)説明を聞きながら、他の3人の作家の方の様に、背景や制作時の考え、感情の様なものを期待したが、その様なものは一切なかった。和田さんは、立体作品の作家なんだなあと思う。立体としてのあり様、その面白さを繰り返し表現している。(・・・異なる意見は多いと思うが)

それにしても、賑やかなトークだった。最初から最後まで、ワイワイガヤガヤ・・・。こういうのを「女子会」と言うのだろうか。参加したことないから、わからないけど。

<了>
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高橋コレクション(名市美で女子会)その3

4月27日、名古屋市美術館 高橋コレクションMindfulness! に出展している4人の女性作家(名知聡子さん、和田典子さん、松井えり菜さん、近藤亜樹さん)のトーク 「その3」です。
松井えり菜さん、近藤亜樹さんに続いて、3人目は、名知聡子さん。

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ウーパ松井)高橋コレクションを代表する(名「そんな事ないですー」)巨大作品、これ新聞で見た方もいると思うんですけれども、この作品の背景等(名「背景ですか」)、ハイ、教えていただければと思いまーす。
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(※図録で見る「幸福と絶望」)
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(※こうして見ると大きさが実感できる。2.4m×11.4m)

名知)そうですね、これは5年位前の、2008だから6年前、の作品。なんかすごいいきなり言いますと、当時私は、とても恋い焦がれた人に失恋をしたばっかりで、ま、失恋しに行ったんですけれども、朝。で何かその時、もう帰って来てなんか、はぁっ・・・ってなっちゃって、電車の窓でぽろっぽろっみたいな感じで、止まらない涙涙みたいな感じで、ま、帰り歩いて、家に帰って布団にモフってなって、「も、だめだー」みたいな感じになって、たんですね。で、(松「棺なんだよね」)あ、イメージとしてはちょっとそんな感じ。
松井)何か「恋が終わった棺」なのかなって。
名知)なんか何かね、なんか多分そう、オペラシティで展示したんですけど、最初に、(「NTTのインターシティ、新宿、初台の・・」)新宿・初台のオペラシティ美術館の細長い廊下でやる機会があって、その時に、ま、私の作品は大きいので現場を見に行ってから考えるんですけれども、丁度ぴったりの感じにしたいと思って。で、タイトルが「幸福と絶望」ってゆうんですけど、正にその絶望の中にいて、もう何日もご飯たべれないと言うか、はぁーみたいな、適当にむしゃむしゃ(?)して。で、毎日毎日布団の中でいて、トイレだけもそもそいって、の感じの時に、あーっも絶望、もう真っ暗にバン!みたいな時に。でも2日くらい食べてないとお腹が鳴るし、なんか食べたい、チキンカツ食べたいみたいな感じがあって。(松「味噌カツじゃないんだ」)なんか髪の毛も汚くなってきて、かゆいー風呂入りたいってゆうのもあるし、爪とかも1ヶ月たっていると伸びてるし、何か髪の毛も伸びてるし。で、1ヶ月とか何ヶ月とか何年伸ばすと、体、何か単純に生きようとしてるな、と思って。ほんっっとに悲しいのに、腹が減るみたいな、グーっとか、打ちひしがれて寝てるのにみたいな感じの時に、あー何かすごい絶望的に苦しくて悲しいけど、食べ物はうまいし、友達はいるし、テレビつけたらバラエティやってるのは楽しいハハッ、みたいな感じになっていって。だからこの絵は棺の中にいる様な感じなんですけど、だけど実はこの、顔は絶望してなくて、希望を見てる顔なんですよ。私、こんなに悲しいけど生きるわ!みたいな感じで、希望を見ている顔なんで。
松井)じゃ、この絵は、生きている幸福と絶望みたいな。なんで、生きている喜びを知って、ま、ま、喜びなんだけど、絶望をして喜びを知る、みたいな。そして天を見ている見たいな。(名「そうそんな感じ」)おーっ。
名知)すごい、ギューッギューッてされる感じ、なんです。(松「そのギューッていうのは?」)ハハハハ、(「ちょっとナポレオンさんが」まあまあ・・・)
松井)あ、ごめんごめん。ギューギューは忘れて。
名知)ま、そういう事があって、描いたんですね。描きたくなって、っていう感じです。

笠木)ありがとうございます。本当に名知さんの作品、大きくてダイナミックで、あのこんなに大きな作品をこんなに可愛らしい人が、作っているというのが不思議だと思うんですけれども。少し名知さんの描き方というか、今回いろいろ材料を。先ず画面がすごくふぁーっとした感じで、綺麗な画面なんですけど、名知さんの制作の秘密と言うか、少しづつ。
名知)実はこれを描いている時は、私普段、制作中の写真なんか撮ることないし、撮ろうと思ったこともなくて。でもこれを描いている時、たまたま、知り合いの方が家に来てくれて、撮ってくれたのを一昨日くらいに発掘して、すごいしかもデータでなくて、プリントでもらったので、プリントをスキャンしてというとても見難いんですが。実はこの、途中経過はこういう感じになっていて、あのーすごい、恥ずかしいですね。すごい見てられない感じなんですけれど。
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これ実は、私、アクリル絵具と当時はスプレー缶なんですけれど。スプレー缶とかコンプレッサーを使っていて。・・・これがコンプレッサーで、これに絵具を溶いて入れて、シューって。プラモデルの色塗るやつも、えたいばんだー(?)みたいなやつでやってるんですけど。でこれ、お皿にアクリル絵具を溶いて、ってやってるんですね。
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だから、ね、あの、正にこの花、これなんですけど、マスキングを一生懸命やって、周りもこの赤い色塗らないように紙とか貼って、シューってやって、ベリベリってとるみたいな。所々すごい感じに、途中はなっているんですね。ってゆうかんじなんですよ。なんでたまにマスキングをこうベリベリって剥がした時に、思ってたものと全然違う!みたいな、はあーやり直しやみたいな、そういう時もあるんですけど。
私は普段わりといろんな資料みまくって描いているので、こういう感じで、過去自分が切り取って集めた素材とか、雑誌とか、肌色を参考にしたりとか。ちょっとこれ今やってるのが、赤毛の男の子を描いているので、赤毛の子を検索しまっくって、いたら、ハリーポッターの男の子が赤毛だったので、あ!こいつだー!って思って見てたり、しているとこですね。で、これは、うちのアトリエの全景が撮れないんですね。引きが全然なくってうちのアトリエは、撮れなくて。これもこれぐらいの大きい作品なんですけど、すごい引きが撮れないので斜めから撮るしか出来なくて、ですね。これもすごい、人が偶然撮った写真で、これは年末ひっちゃかめっちゃか間に合わないってゆう時に、友達に手伝いに来てもらって、深夜3時くらいまで、描いてたんですけれど。こうゆう感じで、パネルがもう6枚、6枚組ぐらい立てて、1枚1枚ばらけて描いているんですね。
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ばらけて描いてて、で、完成図は、これはちょっとアトリエでは見れなくて、丁度(松「会場に行って、初めて完成するみたいな」)そそそ、さっきのやつが、この間、サンワギャラリー(?)でも制作してたんですけれども、家では組んで描けないのでギャラリーに展示して、前乗り(?)して10日くらい、展示室で制作をしてる時が殆ど多くていつも。毎回いつも無理言って前乗りして描かしてもらってて、つなぎ目の変なとこ直したり、全体を見れるから、はぁーっていうとこ直したりとか、する。それで、完成形がこう言う感じ、なんですけど。これは、HPにも載っているので。そうなんです、おっきいから。(「苦労は」)苦労は、激しい、特にこの、これとこれは、上下も8メートルくらいあって、うちのアトリエは、2.5mしか天井高がないので、上下は組めないんですね。なので、上下を横にして、も、こういう感じで見ながら、こうやってやる、みたいな、感じですね。
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松井)特にあれとか、パズルみたいだよね。四辺形だよね、たしか。
名知)あ、正方形の住まいだから。も、早く全部の壁に途中の絵が並んでて、さっきのここ正にそうなんですけど。全部の途中の絵が並んでて、あそこも描かなきゃいけない、こっちも描かなきゃいけないし、この絵の裏にもう1枚あるし、みたいな。どこ見てもこっちの事が・・、すごい気が狂うようでしょ。
笠木)大きな絵を手掛けられるならではの、苦労話ですかね。
名知)美術館とかで前乗りする時はすごいだから、幸せを感じますね。広いし暖かいし。(ハハハハ)

笠木)じゃあそれぞれ皆さんから、質問お願いします。
松井)名知さん、久しぶり。(ヘヘヘヘ)あ、かつらが。名知さんとは、私は、一瞬、京都精華大学で、私、今、講師をしてるんですけれども、あの私、留学している間に名知さんにバトンをタッチして、代わっていただいた背景とか、今、名古屋芸術大学で、教鞭を取っていらっしゃると思うんですけれども、教えることが多いですか?(「あ!あー」)どういう事教えますか。
名知)えーと、京都精華ではあの、なんだっけ、デッサンとクロッキーだと思うけど、名古屋芸大では私が担当しているのは、ニエテ(?)なので、わりともう自由制作含みの授業になっていて。ま、毎回、1ヶ月に1個とか2ヶ月に1個、課題がドローイングだったり、100号サイズ1枚描けるので、それをやってるところに行って、「おはよう」とか言って。アトリエで、各ブースで、あの部屋が出来てるので、ま、壁を立ててなんですけど、ま、そこへ行って「やってる」なんて感じていって、話をして、て言う感じですかね。
松井)なるほど、名古屋の子ってあの、ま、京都、ま私もアカデミックと言えばアカデミックと思うんですけど。名古屋の子ってすごく自主性がある様な気がして。どうでしょうか、なんか、京都と比べて。
名知)ま、(?○○?)コースだったので違うんですけど、洋画と。でもかなり名古屋、やっぱ東京と京都や大阪の中間で、のんびりしてて、名芸なんか特に田圃の中に、(「あ!そうなんだ」)駅から20分以内で田圃の中歩いて、着いてみたいな感じなので、その辺がすくすく、(「のびのび」)すくすくのびのび、やりたい事を、他にあまり気が散らずに出来る環境ではあるかな、って言う感じ。
松井)今日、名芸の方! あ、いるー。すごーいやっぱり名知さん慕われている。
笠木)ありがとうございました。名古屋はやっぱりじっくり作品を作るには、向いているっていう事、ここで活動されている作家さんからよく聞きますね。ハイじゃあ・・・

近藤)うーんと何度か実物の絵を(「あ、かぶってますね」)かぶってますね。なんかいつも自分だなって思って、その名知さんだなーって思うんですけど、他の人を描くことはあるんですか?
名知)すごい仲のいい友達は、結構定期的に描いていて。なぜかって言うとその子と一緒に遊んだり、悩みを聞いたり、喜んだり悲しんだりしてるとだんだん他人事(ひとごと)ではなくなってきて、自分となんかリンクすると言うか、私も一緒になって、うーってなってるとか、すご嬉しいーっ!みたいなとかが、すごい他人事でなく、なって来て描きたいと思うと、わりと友達は描くのがあるのと。ま、あともうひとつは、そうですね。けっこう具体的に誰っていう人は、モデルがいるんじゃなくって、私の、ま、妄想と言うか想像と言うか、そこから発生した人物を描くときも。ミューズ、ボーイとかなんかそういう男の子だったり、なんか、なんだそれっ!ていう生い立ちがあるんですけど、あ、でもそれを踏まえて、どうしても描きたくなって、その架空の人を描いたりとかもします。
近藤)じゃーえーとですね、まーあのー、今回この高橋コレクションの展示って名知さんに限らず、あの、皆さん最近の作品、の方もいると思うんですけど、ちょっと時間が経ってる作品が展示されていて、メインホールのとこ見ていただくと、あの、ばらばらの月日に、ま、描かれたとか作られた作品なんですけど。今回この名知さんの作品で、あの先ほど何か、その恋愛をなんか気持ちとか、そういうのを、が、あって描いたという事を伺って、なんか恋愛とかそういう恋する気持ちって、わかんないですけど、他の感情に比べてわりと移ろい易いっていうか、あの、変わりやすい感情の様な気がして、何回か見てると思うんですけど、久々にまたこの作品を目の前にして、何か、描いた当時とまたいろいろ感情が違う、のかなーっと思って、その辺はどうかなと、思いまして。ハイ。
名知)すっごいあって、何か去年、川鉄トリュースター(?)でも出したんですけれども、でもその時もすっごいあって、特に6年前、で、これーはーあたしの中でやっぱ、私の中で転機となる作品で、ここまでおっきくて、描写が多くて、ま、何が描写かなんですけれども、というのが、だったし。その、でっかーいブレイクハート何かもして、すごい今見ると、ま、技術的な面はもちろん、あーっとかいろいろ思うんですけど。でも単純にこれ「幸福と絶望」っていうタイトル何ですけど、この時、何に私は絶望していたのかってのが、ちょっとなんかわかんなくなったんですね、最近。なんか、状況とか覚えているんだけど、いっぱい泣いたりとか、あそこでギャーギャー怒った(?)とか。でもなんかその時の、絶望、なにに?っていう、その感覚が、なんかもう無いな、っていうのがあって。さっき言ってた、その当時、その時しか書けないって言うのと同じだと思うんですけど。特に恋愛は移り変わりが激しくて、わたしの愛(?)をポートフォリオで見ると、分かるんですよね。だんだんこう来て、あ、上って来たとか、またガーンて落ちてるとか、すっごい分かって。という(「日記みたい」)、そうほんと日記みたい。で、その当時の感じがなんとなく思い出せる、というか、そういう感じ、ですねー。
松井)なんか、自画像っていいね。へへへへへ すごく興味深いモチーフだなって、私も思います。
笠木)ありがとうございます。作家さんは、ね、自分をさらけ出す様に・・・大変な事だと思います。

質問A)HPはありますか。
名知)HPは無くて、小宮山登美夫ギャラリーに作品が載ってます。あと、よく何でこんなにデカいんですかと聞かれるんですけど。(松「何でこんなにデカいんですか!」) 場所取って、金架かるのに、みたいな。それは私は、やっぱそのー、たったひとりの人に見に来てほしい、その人に見に来て欲しいって感じが強くて、その人がこの絵を見た時に、私しか見えないみたいな、他に何も見えんみたいな。私だけ見て!ってしたくて、私はわりと大きく作品を作るんです。私しか、他の誰か見なくていいから。私だけ!みたいな。・・っという意志の表れでした。

質問B)「値段のつけ方・・・」
名知)そう、その時は全然もう値段とかもわかんないし。これ買う人いるの?みたいな。どうすんのこれ買って、て言う感じだったんで。(「大きいもんね」)
笠木)ま、お値段はないしょで。 じゃ、あとおひとり。

質問C)「私だけ見て」と言ってましたが、見た人にどうとらえられるかは、どのくらい気にしますか。
名知)それは私、全く考えないタイプで、もっと言うと、画材とかも、ラッカースプレー使ってるんですね、当時。今はもう使ってないですけど。保存方法とかは、全く考えないタイプで。何か見る人、こうやって皆さんいっぱい来ていただいて嬉しいんですけど、の事は全く考えてないですね。その人のことばっか考えていて。その人、どうにか見に来い!みたいな感じ。で、だからそう、でこんないろんな人が見に来てくれて、新聞とかに載ったり、口づてで聞いて、見に来てくれたらいいな。
松井)たったひとりの鑑賞者の為に作った作品。
名知)わりとそういうのが多いですね。なんか、たったひとり、たったひとりですね。それが誰なのかとか、日々変わって来るんですけど、だからそうですね。考えないですね。
笠木)伝わりますよね。誰にでも失恋の経験とか、あると思うので。そういう気持ちがより伝わると言うのか、納得するような形で、きっとその人にも届いていると思います。
名知)恥ずかしい、いつも作品説明の時に、「恋愛がー」て言ってたらすごく恥ずかしくて。お前さー、痛いわ、みたいな感じになっちゃって、すいません。
松井)画家ってね自分の気持ちを絵に込めちゃうからね。言葉で言えないから。
笠木)そう言う気持ちで皆さん、会場の絵を。どんな気持ちで描いたんだろうっていう事を想像しながら、見ていただけたら良いかと思います。 ありがとうございました。

======<「その4」に続く>========

名知さんの作品は、先ずはその大きさに目が行くのだが、タイトル「幸福と絶望」を見た時、少々違和感。どこが”絶望”なのだろうか? その訳は、失恋であると、トークの中で明かされるのだが、やっぱり少々違和感。筆者と同様、失恋の経験を掃いて捨てるほど持つ人も多いと思うが、その度に絶望しているわけでもない。話を聞いて思ったのは、名知さんの感情の振幅の大きさor激しさの様なもの。このひとつの事へのこだわりや、感情の激しさが、巨大作品を生み出す原動力になっているのかな、と思った次第。

高橋コレクション(名市美で女子会)その2

4月27日、名古屋市美術館 高橋コレクションMindfulness! に出展している4人の女性作家(名知聡子さん、和田典子さん、松井えり菜さん、近藤亜樹さん)のトーク 「その2」です。
先回の松井えり菜さんに続いて、今回は、近藤亜樹さんです。

近藤亜樹)えり菜ちゃんの次いやですねー。よろしくお願いします。(パチパチパチパチ・・・)
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(※右に見えるのが、近藤さんの作品。それにしても、ウーパールーパーが目立つ。)

ちょっとあの松井さんとは違うんですけれども。これは3年前の地震の時、山形にいて、震災を・・あの、もろこう受けたんですけど、その時に、放射能の問題がすごい言われていて、山形なのに。宮城県、福島に挟まれて、すごい飛んでたと思うんですけど。その時にものすごくショックを受けたんですね、自分自身が。友達は無事だったんですけど、その友達の家が流されたり、んー、悲惨な感じだったんですけど、今表現者として何を残せるかなって考えた時に、津波とか震災とか、んー放射能とか、昨日の事に影響されたアーティストってものすごいいると思うんですけれども。その事をまるまる描いてしまうと下品に思えたし、あまりにも悲惨だったから、あ、あまりに綺麗だったんですよね、光景が。んー、それで、後世生きる人に何か残せるとしたら、こういう事がありましたと言うのを描くのではなくて、何か強いメッセージ性があるものを残したいなと思って、その時、50枚くらい画用紙に描いて、その中の1枚で。これは放射能を受けた、浴びている私たちが、いずれ進化して、例えば、手足がいま普通にありますけれども、指が六本になったり、足が3本になったり、耳が無くなったり、そういう事が起きた時に、キノコみたいに自分の体から人間が生えてきて、その時亡くなった人とか、すごく愛しい人が、そこから生えてきたらいいなって思いで描いてみて。ん、ちょっと重くなりましけど、そういう感じの絵なんです。
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松井)今、ウーパールーパーの足が4本なんだよって話をして・・・、これがアーティストトークだなって。勉強しました、ありがとうございます。
笠木)近藤さんのその時感じられた気持ちを、画面に込めてみんなに、後の人に伝える。直接的な事でなくて、作品を通して別の形でその時体験した衝撃を伝えたい、そういう気持ちで描かれた。
近藤)あと、ぽかんと残された人は、心に穴が開いているので、そこでもう一回自分の中で、生き続けると言うメッセージも込めて、こういう風に描いたんです。
松井)ふーーん。亜樹ちゃん、よく考えているんだネ。すごく感動しましたヨ。
笠木)他の方からも質問受けたいと思いますが。 では、松井さんからまず。
松井)亜樹ちゃん、久しぶり!
近藤)久しぶり。
松井)亜樹ちゃんがね、そんな風に考えるとはつゆ知らず。ファッションで描いてんなーとすごく、力強さに目が行ってたんですけれども。そのお話を聞いてから、していい質問かどうかわからないですが、この亜樹ちゃんの絵ってものすごい絵具を使っているよね。亜樹ちゃんのアトリエに行った時、先ず気になるのは、あの、ぶちまけられた絵具っていう。すごいパワフルに描くから、これ多いんじゃない。
近藤)すごい重いと思います。でも、あんまりのっかってない方。
松井)でも、ひと月にどれくらい絵具って、使う?
近藤)すごい量です、ほんとに。ホルべイン(※注:絵具メーカー)から表彰されてもいいくらい。(ハハハハハ)どれくらいだろう、白い絵具だと、これくらいのチューブが、60個くらい。(他4人「エーー!」)
松井)白でふやすしかない、その量使うから。
近藤)でも全部しろくなっちゃう。
松井)あ、そっか。(ハハ) 油絵具ってお金かかるね。亜樹ちゃんのは、アクリルではないんだ。
近藤)アクリルは、紙に描くときだけで、あんまり。
松井)最近、なんか家具とか
近藤)そ、家具に描いて、立体的な絵画を、座れる絵画、みたいな。
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松井)じゃ構成的に似てねえ、立体のウーパールーパーと。(近「そうかなー?」) 似てない!ま、いいです。
笠木)「座れる家具」というのは。
近藤)そう、こっち側見えてないですけど、豚だったり。これがスツールで、イスでもテーブルでもいける。こういう感じの家具を。(笠「何個くらい?」) 40個くらい。アートフェア東京で描いてて。
松井)コラボレーションしていたよね。
近藤)そう、ファップデザインで、段ボール家具のメーカーとデザインさんとコラボレーションでやりました。
松井)オシャンティやね。
笠木)ちょっと可愛らしい恰好でいらっしゃいますけど。
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近藤)普段、こんな恰好してないですから。メイドの格好してやったのは、ハッパキ(?)カフェってやって、それで持て成す為に。
松井)すごいもてなされたのが、ありましたね。すごく癒されました。
近藤)いつもこんな恰好してるんですかって言われて。
松井)亜樹ちゃん、いつもお洒落よね。私いつもボロボロで。たしか名知さんもパタゴニア(※注:スポーツ&アウトドアウェア・ブランド)着てるって。
名知)あれはね、あれは頑張っている方。普段もっとひどいから。
松井)アーティストって結構意外と、制作の時はね。(「ひどいよねー」)わからない感じになってきました。
笠木)今日は皆さん、素敵な感じで、可愛らしい感じで。アイドルかなーって。・・じゃまた名知さんから質問を。
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名知)50枚描いてるって初めて知ったんですけれど、因みにこれは何枚目くらいの・・。大体で、真ん中くらいか、終わりくらいか、最初くらいか。
近藤)絵をきれいに並べて描くんじゃなくって、この後ろとかに挟めてどんどん描いていくから、何枚目かわかんない。同時に出来るんです、だから。(「あーなるほど」)
名知)そうかじゃ、最初の辺で描いてるのと、最後の辺を描いてる時やっぱ、ちょっと感情って違うんですか?
近藤)や、同じで、一定期間描いているものは全部同じもので、そこが全部終わると、もうそん時の気持ちには戻れないんですよね。だから、すっごいショックを受けたはずなんだけど、過去の事思い出しても綺麗になって行くじゃないですか、と思って。(「なってくー」)なってくでしょ。それが、この時には戻れないんですよね。
名知)その時しか、描けないんですよね。そうですね。

笠木)じゃあ、和田さん。
和田)とー、じゃあ私からは、すごいそうですね、んーあの、絵にまつわる話を今日初めて聞いたので、もともとなんかインターネットとかの中にイメージで、あの、絵を拝見した事があったんですけれど、その時もなんか結構すきだったなとか、面白そうだなっていう印象があって、それで今回展示で初めて生の作品を見て、で、お話も聞いてよりこの作品が私も何か好きになったんですけども。でー素朴な質問なんですけれども、絵具をさっき沢山使うという事をだったので、絵具ってメーカーによっても同じ色の名前でも、結構違ったりするじゃないですか。何かこう自分が好きな絵具って言うのは、あるかなって。
近藤)やっぱホルベインの白は、他のメーカーと違って、白いんですよね絵具が。(「そうなんですね」)会社に問い合わせても、皆さん参考にして欲しいんですけど、白がものすごい白いんですよ。売られている白って、ホルベインの回し者じゃないんですけど、白って若干人が見て白だっていうのを感じる為に、ちょっと黄色っぽい加工をしているみたいで。でもいろんなメーカーの中でもホルベインが、一番白い。(「んーーん」)白はホルベインです。
笠木)まさに制作をなされている方ならではのお話を聞けて、ありがとうございます。

質問A)山形で震災にあった時、制作してましたか、していたらそれは何ですか。
近藤)地震が起きた時は、お家にいました。制作中じゃなく、丁度「告白」と言う映画を見終わった後、ズドンと来たんです。で、ほんとに絶望的な、あの映画も結構悲惨な映画でしたけど。その時、絵が描けなくて、生きている事も罪みたいな感じになって来るんですよね。周りに沢山亡くなられて、やってる事も絵を描くことだから、社会に貢献しているかどうかもわかんなくなって来るって言うか。でもボランティアに行って、一番最初に救われるのは、ボランティアを、震災で瓦礫とかを、手伝ってもらってる方でなく、ボランティアしている方が助けられるんですよ。てゆうのは、彼女とか彼らは、震災を受けた人よりも、ものすごい明るいんですね。余計に何かしないといけないと思ったんですけれど、みんなが皆ボランティアをすれば良いってものでもないし、今すぐお金を作って、あげれるだけ私も年をとってないので貯金がなかったんです。その時、で、何か出来ることは無いかなと思った時に、10年後20年後の事を考えたら、彼らが絶対に、ま今3年経つんですけど、3年後とかって攻めるところが無くなって来るんですよ。震災があって、原発が悪いとかそういう事でなく、自然の災害だから、っでその時に、何か見てる人が、ふっとその時の事を思い出したり、和らげたりする事が、私たちの役目だと思ったら、そのまま描くよりも何かメッセージを込めて届けてあげたいなと思って絵を描く方法を選んだです。ん。私はそうです、それでだんだんテーマが決まって行って。
(「制作はいつごろ?」)8月・・・3ヶ月後くらいです。

質問B)画材のこだわりは
近藤)パレットが白くないとダメですね。(「紙パレット使ってんだね」)紙パレットじゃないと。白ければ何でもいいんですけど。色が反映されるじゃないですか、隣の色と。だから白は絶対使う。・・・色は一色じゃ見えないと思っていて、例えば、みかんてオレンジネットに入っているから甘そうに見えるけど、青いネットに入っていたらすごい酸っぱそうに見えるじゃないですか。そういうのと同じで、絵も隣に来る色によって変わるんで、絵具を作る時は、フラットな状態にしておきたいと思っていて、感じです。

笠木)私から一つ聞きたいのですが、近藤さんが学生の頃に、高橋コレクション展、最初の「ネオテニージャパン展」をご覧になって、その時にこのまま画家をやっていこうと思われたとお聞きしたんですけれども。
近藤)そうですね、画家というかアーティストですね。なれれば・・、なろうと思ったんです。(笠「その時の話を」)
その時の話・・・多分、山口晃さんだと思うんですけれども、額が、壊れていている様な額があって、「あれっ!真面目じゃなくていいのか!」って思って。大学ってアカデミックで、ちゃんとこう、「見たものはちゃんと描きなさい」みたいなのがあって、私はどうしても描けなかったんですね。劣等生だと言われて、こんな世界やめてやると思っていたけど、地元に丁度、札幌に帰った時に、ネオテニージャパンをやってて、で、山口さんの作品、その時は、意図的にやっているのか壊れているのかわかんなくて、「あれ、これでも許されるんだ」と思って、そっかそれならできるよ、と思ってアーティストを目指した、ですよね。
笠木)へー、高橋コレクションに縁が深い。(近「そうですね縁が深いです」)今回、山口晃さんの作品、出品してますけど、額が・・
近藤)そう、何か1個だけ変、やっぱりこれ変なんですね。なんかみんなこう揃っているのに、いきなりこっちに出てたり・・・。
笠木)こわれてるのありますね。壊れているわけではないですが。
近藤)そうですね、多分意図的にやってるのかもしれない。(ハハハハ)山口さんには言えないですけど、皆さん言わないで下さいね。
笠木)ま、そのお蔭でこんな素晴らしいアーティストが生まれたので。また名古屋でもこの展覧会を見て、アーティストが生まれて欲しいなと思います。
近藤)特にあの私なんか皆より絵が下手なので、みんななれる気になって来ると思うので、是非なってください。
笠木)ありがとうございました。

======<「その3」に続く>========

近藤さんの作品が、東北の震災を悼んでのものとは思わなかった。
この様な事態に対し、アートは、アーティストはなにをすべきかとの話は、当時からよく聞かれた。2011年3月15日に、「トリエンナーレを通して愛知・名古屋を語る」対談:建畠哲(あいトリ2010監督)×諏訪哲史(小説家) が、企画されていた。が、震災の為、急遽 ”東北地方に襲いかかった未曾有の大地震と津波の被害を受けとめて、お2人には「アートには何ができるのか」と題して、アートの可能性、そしてその不可能性について、お話をお伺いします。” の様に変更になった。興味深いのは、その対談のなかで、近藤さんと同じ様な発言があった事。
 諏訪氏:「今後の私の作品に確実に影響を与える事になるが、
       いま、震災をテーマに作品を書くことはできない。 」
 建畠氏:「アウシュビッツの後で、詩を書くのは、野蛮だ。」
      (他の人の言葉を紹介)
悲惨さをそのまま作品とするのは、直接的過ぎて抵抗がある、と言う事なのでしょう。(表面的な話だが)しかし、諏訪氏は同時に、被災地の光景、とりわけビルの屋上に巨大な船が乗っかった状況を「あえて誤解を恐れずに言えば-『美しい』と感じた」とも述べた。
私も、ボランティアに(石巻市)行って感じたのは、その点だ。普通の家屋の1階に船が突っ込んでいたり、駐車場にヨットが転がっていたり。瓦礫の原っぱに、ポツンと鳥居だけが立っていたり(神社はない)。非日常の世界。しかし、そこに暮らす人々はすでに、それを当たり前の様に気にする風でもない。
地元の新聞・河北新報に掲載された写真を見た。私が宿泊先として利用させていただいた割烹料理屋(1Fが被災で営業できず)の近くに、北上川がありそこに架かる橋に(津波により)衝突した船が、山の様になっていた。驚くべきはもう一枚の50年前の写真だ。全く同じ光景がそこにあった。チリ地震による津波が、三陸海岸を襲ったのだ。
高々50年前の事を、私たちは忘れてしまっている。アートが、人の心に働きかける事が出来るのなら、この美しく悲惨な光景を人の心に刻み込むのも、使命なのではと思う。

高橋コレクション(名市美で女子会)その1

4月27日、名古屋市美術館 高橋コレクションMindfulness! に出展している4人の女性作家のトークがありました。進行役の美術館学芸員の笠木日南子さんを加えた5人の女性のトークは、まことに賑やかで楽しかった。その雰囲気を伝える為に、録音の文字起こしを中心にお伝えします。トークの時間は、1時間40分程でしたので、結果、文章もかなり長くなりました。一度に掲載するのは(読むのも)大変なので、分けてUpします。それでは、「その1」です。

1階の入り口(後ろに草間彌生さんの作品)にて。
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向かって左端に、進行役の名古屋市美術館・学芸員の笠木日南子さん。笠木さんが、本日の4名の女性アーティストを紹介しています。笠木さんの隣の2人は、名古屋在住の作家、名知聡子さんと和田典子さん。
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右手2人は、東京在住、ウーパールーパーのナポレオンさん(松井えり菜)と近藤亜樹さん。
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4名の方の作品展示は、2階会場なので、2階へ移動。笠木さんが、最初のトークとして松井さんを紹介。ウーパールーパーの被り物を脱いで、『松井えり菜』さんが現われる。
松井えり菜)ウーパールーパーの中身の松井えり菜です。これかぶっていると前が見えないので、こんなに人がいるとは思いませんでした。今、驚いています。
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笠木)今日は4人の方にお越しいただいていますので、先ずはそれぞれの作家さんから、自分の作品についてお話いただいて、それから、他の作家の方にもお話(質問など)をして頂こうと思っています。
松井)ハイわかりました。こちらの作品は、多摩美術大学の卒業制作のもので「食物連鎖StarWars !」(2008)という作品です。
IMG_4699(400.jpg<図録から>

私の作品は日常の面白さから着想を得て制作する事が多くて、この作品は、食物連鎖をテーマにしてます。おっきいものから小さいものへ、通常紡がれる食物連鎖という事象が、人間の登場によって大きく変わってしまったのではないかという事を、絵を通して伝えていきたいと思って作った作品です。これは鯱(しゃちほこ)ですね。2008年当時から名古屋で展示する事を見越して作りました。これは作りました(手に持った段ボールに描いた鯱)。
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これはこの様に、(笠木さんが絵の上の方に突き出ている先に鯱が付いた針を動かすと)耳を澄ましていただくと、スターウォーズのテーマがオルゴールで流れます。食物連鎖の、戦いなので、スターウォーズ、規模大きくやってみました。こういった作品を作っています。
(笠「これは?(大きな顔を指して)」) 自画像です。 (笠「松井さんの作品、大きなほくろが」) 私が自画像をメインにしたのは、人間を通した世界、ま自分の自画像と言うよりは、ひとつの物体を通して見てもらいたいと思い、自分の顔をクローズアップして描いています。
笠木)いつも巨大な松井さんの顔が出てくるんですけれども、こんなに可愛らしい方だとは。
松井)嬉しいです。
笠木)次に向こうの作品を。
松井)こちらの作品は、東京芸術大学の大学院修了制作で、襖絵です。屏風みたいになって。
IMG_4693(400.jpg<図録から>

子供の頃に見たある襖が、を大人になってから見た時の方が、感動が大きかったんです。何で感動が大きかったかというと、大人になったからの方が、絵のバックグラウンド、絵師が有名だとかを知っていたり、子供の頃より勉強していたので、感動があったんです。子供の時もしその知識があって、襖絵を見たら絵がもっと大きく感じたと思う。自分が今よりちいさいので。その時見れたらいいなと思って、この襖絵は、私が見た5才の時より(私が)1.5倍の大きさになっているんです。なので、1.5倍の大きさで襖絵を書きました。こういう感じの作品です。 ハハハハなんか緊張しちゃって。
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笠木)今私たちが見て、松井さんが5才の時見たくらいのどーっんとした大きいのを再現したかったと・・。
松井)そう、そうです。最初からそう言って下さいヨ。
笠木)このサンショウウオは、(松「ウーパールーパーです」)あ、ウーパールーパーは、裏の方にも描かれているので、あとで見て下さい。
謎に思っていることをひとつ。今日も、ウーパールーパーのナポレオンさんが友情出演してくれてますが、作品の中にもウーパールーパーさんが出て来るんですけれども、ウーパールーパーさんは松井さんにとってどんな感じですか?
松井)ウーパールーパーも、いちおう私は自画像として描いております。なぜかと言いますと、子供の頃よくウーパールーパーに似ていると言われてたので、そういう自分を反映したものだと。ハイ描いています。
笠木)見ている方も、ウーパールーパーが好きなのか、ご自身を投影しているのかと・・。
松井)あとあの、飼ってます。
笠木)それでは、今日は4人の作家さんがいらっしゃるので、別の作家さんから見た松井えり菜の作品についてとか質問とかをお聞きしていきたいと思いますが、如何でしょうか。では、名知さんから。
松井)名知さん、お手柔らかに。
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名知聡子)単純な質問で申し訳ないですが、大体一枚どれくらいの期間かけるんですか。
松井)私は、割と時間が掛りまして、3ヶ月から5ヶ月ぐらいです。
(4人「えーっ!」)ただ、同時に何枚も描くので。常にフレッシュな状態で描きたいので。ずっと書いてると、画家だとわかると思うんですが、だんだんマンネリ化してくるので、飽きてきたなと思ったら次の絵、そして飽きてきたら次の絵・・・、と言う感じで、回していくので、5ヶ月間で3枚くらいかなーって言う感じ。
名知)じゃ、次の絵に行く時は、前のがまだここにあってみたいな。
松井)で飽きて、ふとした日常の面白さ、こうゆう話していて、あ、このネタは使えるなと言うのも、エスキース(※スケッチ、下絵)からどんどんかけ離れていっちゃうんですけど、どんどん入れちゃって。なので私の絵は、ギャラリーの人に「困る」って言われて、計画しているのと全然違うという様な事になってしまうので。でも、大体の筋は通しているんですけど。ハイ。-で、次の・・・ ヤッホー。
近藤亜樹)ヤッホー
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松井)あ、亜樹ちゃんと私は、アトリエが一緒なんです。
近藤)なんで、ちょっとどうしようかな。あの、スターウォーズと、こっちは何だっけ、テーマは。
松井)“目から鱗でめでたい“という・・・。
近藤)「めでたい」になんかこう、んーピックアップしてる、注目の・・、どうしてそこにピックアップしたか。
松井)え! 
近藤)どうしてそれを選んだのか。
松井)「食物連鎖」?
近藤)「食物連鎖」だけど、毎回ちがうでしょ。スターウォーズ、うー、鯛。
松井)その質問、難しくネ!
近藤)そうですけどヘヘヘ。みんな聞いてるしねへへ。
松井)もう少し練り込む時間ほしかったな。あーでも、一応子供の頃見た感動を大人になってもう一度追体験したいってゆう、あのー思いがあってこの作品を作りました。
近藤)そっか、じゃあ、そこの現地には行ったりするんですか?
松井)勿論、私は見て、やっぱり見て感じなければ、こー中々、筆も進まないので、この前も小笠原諸島に行った時に、見た風景が、小笠原諸島って海洋島なんで、ガラパゴス諸島みたいな。原生の木がすごく低いんですよ。その様子がスイスの山々に登った時の標高の高い山にすごく似ていて、その瞬間すごくダブった時の感動を絵にしたものとか、描いたり。そういう、何か自分で体感したものの方が、描いた時に、人に訴える力が強いのではないかなーっと思います。例えばですけど、私が、戦争画を描くぞってかいても、なんとなく薄っぺらいものになってしまうんですけれども。やっぱり自分で実体験したもの描いたら、絵って感情そのものも練り込んで描いていくものなので、見る人に伝える力がもっと大きいんじゃないか、と思って描いてます。
ここちゃんと説明できた?(パチパチパチ・・拍手) すいません乗るのに時間かかっちゃって。
和田典子)私あの、質問を考えてきたんですけど。話のなかで答えが出てしまって。(ハハハハ)
私の予想だと、すごく下書きとか構図とか描くモチーフとかを、かなりきっちり決めて、計画的に描いているんじゃないかなと予想していて、下書きとかドローイングとかを沢山しますかと言う事を聞きたいと思ってたんですけど、わりと途中からどんどん出て来るっていう事だったので・・・。
松井)そうですね、私、下書きでいいものが出来てしまうと、それ以上に良いものが描けなくなってしまう、で、下書きは大体ラフにして、そしてこう、どんどんキャンバスで描き始めて、途中で同じく話してる時に、何か亀、インドとかの、あの、あ、今その、私最近結婚しまして、ひゅー。(パチパチパチパチ・・・)あのーそれで私、松井えり菜でなくて、亀山えり菜なんですけれども、ホホホホ。で、「ミズ・タートルマウンテンの憂鬱」っていう絵を今描いていて、へへへ、結婚した事によって、パスポートも変えないといけないし、○○マーク(サインの事?)も変えないといけないし、何で女の人ってこんなに大変なのって、思った時の感情を絵に描いています。私が地球になっていて亀の岩に押し潰されていて、歯ぎしりしているという絵なんですけれども。だからその絵を描いている時、インドの神話で亀の上に象がいて地球を支えているのが、そんな世界論の様な事を聞いた時、あ、これは、入れるしかないな、みたいな。今、何か無理やり入れないといけないな、みたいな、思っていて、ま、あんまり支度してないです。
笠木)ありがとうございました。作家さんならではの視点からの質問が、面白いと思ったんですけれども。
会場からも質問受けましょうか。
質問1)平面以外、立体もの作るのはどういう時?
松井)私は元来手を動かす事が好きで絵を描き始めているので、あのさっきも触れたんですが、常にフレッシュな感覚で絵を描いていたいというのがあるので、絵を描いている合間に、小さい立体物とかは作ったりします。だから、粘土こねたりするの好きなので、その、絵と連作のものもあるんです。ムーンライト・パーティって言う、ウーパールーパーが積み重なっている絵を描いた時に、ウーパールーパーの月見団子みたいなオブジェを作った事もありますし、までもあの原色の・・・と比べると荒れた作品なんですけれども、それなりに愛着があって、立体を作るというよりは、絵を描く感覚で、一緒にその、副産物ですね。(というのを)作ってます。
質問2)何でブースカやねん。
松井)「ブースカやねん!」ですか。 
IMG_4696(300.jpg<図録から>

私、ウーパールーパーが好きなんですけれども、家で飼っているウーパールーパーにブースカが似ていたので、ちょっとアイコン的に。ただ、著作権的に大丈夫かなという事が心配になって来ているんですが。あのロビンっていう馬がいるんです。あのロバみたいな子供が乗るような、乗用ロビンっておもちゃがあるんですけれども、あれに関しては版権を取っているので、あれは大丈夫。版権というか、その、えっと、そこの会社の方に描いていいという許可を頂いています。
笠木)そうですね。著作権の問題は大切ですね。
松井)そこのおもちゃ会社の人からも、「前から気になっていた」と言われました。ハハハハ
笠木)他に質問なければ、他に小道具を用意して・・・、実はこれ松井さんのアトリエの、作品が生まれる現場の写真をご用意頂いたんですけれども。実は、松井さんと近藤さんは、同じアトリエで。お部屋は別ですが、同じ建物の中にアトリエをお持ちと言う事で。
それと、名知さんと和田さんですけれども、今は別々のアトリエで活動されているんですけれども、昔、ドットと言うアーティストランのスペースとアトリエが限られたところで、一緒の場所で生活されていたと言う繋がりがある4人の作家の方です。こういった作品が生まれる現場と言うのは、なかなか見る機会がないので、面白いかなと思って。
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松井)ありがとうございます、印刷。こんなにいい印刷にして頂いて、私のアトリエが喜んでいると思います。こちらの絵が先ほどお話させていただいた小笠原の絵なんです。こんな風に私のアトリエは、全ての作家さんの作品と頭の中って、アトリエに象徴されている様な気がして。私以外の(3人の)方のアトリエも出て来る時に、「アーっ、本人と被るわー」みたいな所が出て来ると思うので、楽しんでいただけるのではないかなと思います。私の頭はわりとぐちゃぐちゃなので、わりとぐちゃぐちゃ。で、これはきれいな方ね。
近藤)うん、すごくきれい。
松井)ア、ちょっと待って。デヘヘヘヘ。
近藤)松ちゃんいつも・・・
松井)ちょっ、ちょっと待って。ゴキブリが出るような汚さではないんですよ。生ごみがある様な汚さではないんですよ。だよね。
近藤)うーん。
松井)また、また。かびたお弁当ぐらいね。
近藤)それっておなじだよね。
松井)それ持って帰るから、最近、有料化したから。持って帰るようにしてます、国分寺市ね。
笠木)こういったのは、絵の材料になるんですか?(床に散らばっているもの)
松井)そうですね、散らばっているのは殆ど絵具だったり、今描いている作品の資料だったり。あとこの後ろにある万国旗は、取材用ですね。多摩美術大学の「先輩のアトリエ」っていう取材があったばかりだったんです。でもま、万国旗は年中ついているよね。
近藤)え、あーそうそう。
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松井)シアタープロダクトっていうお洋服屋さんとコレボレーションのカタログを作った時のまま。2年前のまま。です。(「これがろーでぃー?」)あ、そうです。これがローディーと言う乗り物です。こどもの日によろしくお願いします。大原美術館の展覧会の図録がShopで売ってます。また武蔵野美術大学美術館で、大原美術館が集めた現代美術展をやってますので5/26からなので、東京に行く機会があれば。ムサビはアクセスは大変ですが。私たちのアトリエは近いですが。ありがとうございました。

======<「その2」に続く>========

松井さんの”ウーパールーパー”ヘルメットには、驚いた。いったいこれは、①今回のトークの為にわざわざ作成/②いつも人前ではこの様な姿を見せる/③作品のひとつ、のどれだろうと思ったら、答えはShopにあった。
IMG_4691(200.jpg<大原美術館図録>

図録表紙には、ウーパールーパーの松井さんが写っていて、ページをめくると、ウーパールーパーの頭を中心とした、インスタレーション作品の展示があった。また、松井さんは、これをかぶって各地をたずねる《ドコヘデモイケマス》なるパフォーマンスも行っているんですね。
それにしても、松井さんは、なぜこんなにもウーパールーパーに拘るのだろう。ウーパールーパーは、メキシコ原産の両性類で、サンショウウオの仲間だそうだ。が、カエルの様に「オタマジャクシからカエル」の様な変態はしない。子供の時の形のまま成熟し、大人になる。側頭部の左右3本づつの突起は、鰓(エラ)。サンショウウオは大人になると消えるが、ウーパールーパーはそのまま残っている。生物学では、幼体の特徴を残したまま成熟する事を「幼形成熟(ネオテニー)」と呼ぶ。このあたりが、こだわる理由か。

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ゆでたまご

Author:ゆでたまご
鑑賞者の目で現代アートを探求

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