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2013振返り:Pe Lang(ペ・ラン)

2013年の気になった展示を振返る。
11月9日(土)STANDING PINE の「Pe Lang & Ariane Pauls – CONSTRUCTION」
からペ・ランの作品について。
この作家については、ギャラリー説明は以下の様になっていた。

<Pe Lang ペ・ラン>
1974 年スイス/ズアゼー生まれ。チューリッヒ、ベルリンを拠点に活動。様々な物質や素材が持つ本来の機能美を、機械的な構造物を通して提示するアーティスト。 不安定さを伴った複雑な物理現象は、精密に作り出された構造体の中で刹那的に現れては消えてゆく。2007年にはニューヨークの音響レーベル12Kに楽曲 を提供するなど、サウンドアーティストとしての活動も幅広い。

こんな人みたいです。
本人画像cv400

作品は、いわゆる絵画、彫刻、インスタレーションと言ったものではなく、「装置」だ。例えば、これなんかはタイトル「positioning systems – falling objects_Drops」なんだけど、台の上の「水滴の並び」だけでなく、それを作る装置も含めて、と言うよりその装置が作品本体なのだろう。
IMG_2919cv300.jpg
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台の上に並ぶ無色の玉は水滴だ。装置が、撥水性の台の上に、同じ大きさの水玉を等距離に並べる。針の先から純水を押出す量、位置決めを自動的に行ない、全て終わったらノズルは元の位置に戻る。水玉は徐々に蒸発し半日程で消えるので、「半日のテーブル上のアート」なのだろうか。

こちらはタイトルは忘れたが、sound objects のような感じだったと思う。
壁から少し間を空けた所に棒が固定され、そこに小さなスピーカーが細い糸で吊るされている。
棒のの両端にはモーターが付いており、それがゆっくりと回る。ひもの端は棒に軽く結んであるので、回転と共にひもが摩擦で若干巻き取られる。が、半回転程でひもはつるりと滑り、持ち上げられたスピーカーも下に落下する。その時の衝撃で、スピーカーは「ツン」と音をだす。何個もスピーカーがあるので、ランダムに「ツン」「ツン」と鳴る。
水琴窟を思わせる音だ。
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他にもふたつMOVING OBJECT というタイトルの作品があった。
ひとつは、棒に小さな黒いリングが掛かっているもの。
両端のモーターが回転すると横棒が振動するので、リングは左右に動き出し、互いにぶつかり合う。全体を眺めていると、1次元の波が、右へ左へと移動するかのように見えてくる。
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もうひとつは、ねじれたゴムひもを水平に何本も並べたもの。
IMG_2925cv300.jpg
中央にある縦棒が、左右へ(自動で)移動する。そうすると、元々捻ってあったゴムひもは、伸ばされる側はピンとまっすぐなひもになり、縮む側は、益々ねじれが大きく塊になる。この対比が面白い。
IMG_2936cv300.jpg
ペ・ランの作品は、よく見ると仕掛けがわかる作りになっている。
3次元のスクリーンセーバーの様に、見る人に時間を忘れさせてくれる。
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犬飼真弓-絶対領域 (STANDING PINE

12月21日(土)レビュー講座仲間と一緒に、名古屋伏見のSTANDING PINEを訪問、
犬飼真弓さんの「絶対領域」展(最終日)を鑑賞しました。
丁度、犬飼さんも在廊で、少しですが話を伺う事も出来ました。
inukai300.jpg
犬飼さんの作品は、STANDING PINE で何度か拝見していました。例えば2011年の作品で
「無題」がありますが、
mayu2[1]cv200

これなど、彼女独特の表現で、ご存知の方も多いでしょう。
今回の展示を見ますと、その特徴が更に推し進められた印象があります。
IMG_3159cv300.jpg
かなりデフォルメが進んだ感じですね。
この表現をどの様に製作したのか、犬飼さんに聞いてみました。
写真に撮ったものを、少し丸めて横から見ると、この様な縦長の顔に見える
のだそうです。勿論それだけでなく、その写真に色(白?)を塗ったり、それを更に
写真に撮って、それを描くとか・・・。
まあ、技術的にはそうなのですが、気になるのは、何を描いているのか?ですね。
もうひとつ、今回の個展のテーマにもなっている「絶対領域」という作品です。
IMG_3160cv300.jpg

見るとお風呂に浸かっている様ですね。後ろの影は何かはっきりしないですが、
お風呂を何かが取り囲んでいる「絶対領域」でしょうか。
犬飼さんに、「これは露天風呂に入っているところですか」と聞いたら、
 「まーそれでも良いですけど」
と言っていた。
誰も入って来ない、ゆっくりとお湯に浸かっていられる安心空間としてのお風呂は、
彼女なりの「絶対領域」の表現としてもおかしくは無いのかな。
後ろの影をお釈迦様の指と見立てると、その掌の上でお風呂に浸かるのなら
「まさに、絶対領域ですね」と言ったら、「ウッフフ」との返事だった。
隣にあったのは、この作品ですが、(タイトルは、「心の死」の様な。忘れました。)
IMG_3161cv300.jpg
一緒に行ったYさんは、「ちょっと怖い」と言っていた。
犬飼さんの絵は、よくその様に言われるそうだ。
「もう少しかわいく描いて」という注文も聞かれるとか。
でも、描く目的が違うのだろうから、今後もかわいい女の娘は、出て来そうにない。
心の奥底にあるものを、女性の顔をアイコンとして描いている、のだろうか。

今回は時間が無くて、あまり話を聞けないのが残念だった。
2014年には、ここSTANDING PINE でまた個展があるだろうから、その時は、
じっくりと話を聞いてみよう。
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ゆでたまご

Author:ゆでたまご
鑑賞者の目で現代アートを探求

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