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木村充伯展「Above the horizon」

6月7日(土)、ケンジタキ・ギャラリーで木村充伯展「Above the horizon」(2014.6/7-7/19)を見てきた。
木村さんの作品は、ユーモアと奇妙な雰囲気、それとちょっとした驚きも感じさせてくれる。
昨年拝見した木村さんの作品は、油絵具の塑像(油絵具をてんこ盛りにした立体)だったが、今回は木彫だ。ギャラリー入り口を入ってすぐ作品が見える。
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立木の枝に、白い小鳥が何羽も止まっている構図だが、何やらおかしい。鳥は足で枝にとまっているのではなく、頭を枝のなかに突っ込んでいる。タイトルは、《鳥の死角》。
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鳥は非常に視野の広い目を持つと言われていますが、これでは「死角」どころか全く見えないですね。これが猿なら「見ざる(言わざる聞かざる)」で、都合の悪い事は(頭を穴に突っ込んで)見ない事にするとか。しかし、最近の調査として、鳥が大きな構造物と結構、衝突事故を起こすとも聞いている。ビル、送電線、風力発電の風車etc。報告では、鳥は地上の目標物を注視しているが、前方が案外疎かになっているとか。《鳥の死角》の奇妙な風景を見ていると、いろいろ想像してしまう。このあたりが、木村作品の面白いところか。そこにあるものが、何であるかはすぐわかるが、“なぜ?”と考えてしまう。

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1F中央には、ラッコが2頭横たわっている。樟(くすのき)からの削り出しで(+油彩)、表面のささくれが、ラッコの体毛の感じを出している。表情も何かを食べようとする仕草も愛らしい。が、それにしても、デカい!(トドじゃないんだから)

壁には、後ろを向いて張り付く《猿の群れ》。
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7頭の猿の後ろ半分が、壁に張り付いている。顔も見えないし、手足も尻尾も見えない。後頭部から背中にかけての毛並と、特にふたつに割れたおしりが、間違いなく猿だと思わせる。類人猿共通の(外形上の)特徴はこのおしりか?などと考えてしまう。

2F展示室に行くと、先ず大きな熊が目に入る。正面を向いてデンと座っている。
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後ろに回って見ると、背中が無くてがらんどうの内部が見える。(制作途中、ではないと思うが・・・)
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張子の虎ならぬ、張子の熊ではないと思うが。その傍には、コンクリートでできた犬《犬の向き》がある。
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質感からは、小さいがそれなりの重さも感じる。大きな熊との対比で配置なのか。

壁には、熊を取り囲む様に、ドローイングが並べられている。
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白い紙の中央には、小さく人や動物やいろんなものが描かれている。
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顔を近づけて見ないと何が描いてあるかわからない程だ。大きな熊のまわりの小さなドローイング。
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木村さんの作品を初めて見たのは、2013年のアーツチャレンジ(愛知県美術館で開催)で、油絵具の塑像だった。その時は、絵具の塊を作品にするのかと、その発想とユーモラスな表現に気を引かれた。見た目のわかりやすさの反面、ちょっと引っかかって、何だろうと考えてしまうのは、作者の意図だろうか。
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Author:ゆでたまご
鑑賞者の目で現代アートを探求

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