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米山和子/祖父江加代子 《つむぐけしきよむこころ》その1

米山和子/祖父江加代子 《つむぐけしきよむこころ》
                    2014.10/18-12/14
                  
名古屋市千種区の幹線沿いから少し奥に入ったところ、街中では少ない緑に囲まれた住宅地の中に、古川美術館の分館為三郎記念館があります。ここは、実業家で美術コレクターでもあった故・古川為三郎氏が晩年を過ごした邸宅を美術館の分館として公開したものです。IMG_7595_convert_20141028222934.jpg
住宅地のなかにある為、この様に看板を出していなければ、うっかり見過ごすか、入るのを躊躇しそう。
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入り口には、この分館の説明板がありました。
『初代館長古川爲三郎の遺志をうけ、その居宅を平成七年十一月三日より、古川美術館分館として開館いたしました。数寄屋造りの「爲春亭(いしゅんてい)」を中心に、爲三郎が愛した六本の椎の木などの樹々が繁る庭には茶室「知足庵(ちそくあん)」や仮設の舞台が備えられています。』
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展示会チラシも。
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数寄屋門をくぐりますと玄関が見えます。ここから入る事は出来ませんが、展示の一部が見えます。和紙を使った作品は、米山さんのものですね。
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右手の受付から入りますと、玄関が見えてきて、その上り框のところに、厚い松板が寝かせてあります。これは、和紙を漉いた後、この上に広げて乾かす「紙板」で、300年程使い続けたものだそうです。繊維が浸み込み、うっすらと白ずんだ表面に、紙を切り抜いて作られた和歌が、貼り付けられています。

あしひきの 山あいにふれる しらゆきは すれる衣の ここちこそすれ

となりには、中央を絹糸で持ち上げられた横長の和紙が広げられており、この歌から感じた景色を、形で表現しているようです。
 米山和子さんは、この様な和紙を使った造形作品や米を使ったインスタレーションで、注目されている現代アート作家です。この展覧会を楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか。

そしてもう御ひとかた、祖父江加代子さんは、空間コーディネーターです。次の「葵の間」は、「かしもぐさ」(雨のふるをいふ)と題がつけられた、祖父江加代子さんコーディネートの空間です。
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 部屋の中央に黒いテーブルが鎮座し、その上には、茶道具一式をのせた銀色のステンレス盆が置かれています。テーブルの四隅には、雨だれを思わせる米の糸が天井から吊るされ、黒(テーブル)、銀(盆)、白(米の糸)の3色が、この和室空間をひきしめます。

 「大桐の間」は、米山さんの「こめのゆめ」です。2010年あいちトリエンナーレ共催展、七ツ寺共同スタジオでの展示も拝見しましたが、薄暗い舞台を背景に浮かび上がる白い米粒の連なりに心惹かれました。この白い粒を「こめ」といいましたが、近づいてみるとすぐわかります。わたし達が毎日食べているご飯粒を乾かした、糒(ほしい)です。まだ柔らかいご飯粒を絹糸に通し、乾かしますと半透明の粒の連なりとなって、光を柔らかく反射します。
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 二間つづきの和室の間に、山並みを形どった欄間があります。こめの糸は、山並みを吹く風や降る雨の景色を表現したものの様です。天井から垂れ下がるこめの糸は、水滴のつらなりを感じさせますし、床の間から反対側の天井へとのびる糸は、谷合をながれる風を見ているようですね。また、床の間で一束になったこめの糸からは、白糸の滝を連想します。
 これらこめの糸によるインスタレーションは、ふたつの線、垂線と懸垂線により構成されています。懸垂線は、日本建築では「縄だるみ曲線」とも表現され、自重により自然に紐が弛むときの曲線を言います。吊り橋の形状もそれに当たります。米山さんの作品が、全体にしっとりと落ち着いた印象を与えるのは、円弧や放物線等の幾何学的な形状ではなく、この懸垂線を使う事によるものなのでしょう。

次の「瓢の間」は、祖父江さんの「みのり-豊穣の宴」です。
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実りの秋、稲の刈り取りも終わり、一息ついた頃の何かのお祝いの席でしょうか。輪島漆のお膳には、白い紙が一束置かれ、その上には稲穂が一本のせてあります。紙は神に通じるとして、神聖なものとされています。お膳の黒と紙の白の対比が美しく、こうべを垂れる一本の稲穂が豊かな実りを感じさせ、これから始まるであろう宴に華やかさを添えます。
この瓢の間は、襖を隔てた隣に「かげてらす」があります。廊下に面するところは、黒いレースカーテンが掛けられていて、入って良いものやら躊躇していると、
  「どうぞ、お入りになって下さい」
声をかけられた。祖父江さんだった。
         ・・・・<<<その2>>>に続く。

※注)美術館での撮影は本来禁止ですが、今回は、事前に美術館の了承を得て撮影しました。
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