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高橋コレクション(名市美で女子会)その3

4月27日、名古屋市美術館 高橋コレクションMindfulness! に出展している4人の女性作家(名知聡子さん、和田典子さん、松井えり菜さん、近藤亜樹さん)のトーク 「その3」です。
松井えり菜さん、近藤亜樹さんに続いて、3人目は、名知聡子さん。

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ウーパ松井)高橋コレクションを代表する(名「そんな事ないですー」)巨大作品、これ新聞で見た方もいると思うんですけれども、この作品の背景等(名「背景ですか」)、ハイ、教えていただければと思いまーす。
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(※図録で見る「幸福と絶望」)
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(※こうして見ると大きさが実感できる。2.4m×11.4m)

名知)そうですね、これは5年位前の、2008だから6年前、の作品。なんかすごいいきなり言いますと、当時私は、とても恋い焦がれた人に失恋をしたばっかりで、ま、失恋しに行ったんですけれども、朝。で何かその時、もう帰って来てなんか、はぁっ・・・ってなっちゃって、電車の窓でぽろっぽろっみたいな感じで、止まらない涙涙みたいな感じで、ま、帰り歩いて、家に帰って布団にモフってなって、「も、だめだー」みたいな感じになって、たんですね。で、(松「棺なんだよね」)あ、イメージとしてはちょっとそんな感じ。
松井)何か「恋が終わった棺」なのかなって。
名知)なんか何かね、なんか多分そう、オペラシティで展示したんですけど、最初に、(「NTTのインターシティ、新宿、初台の・・」)新宿・初台のオペラシティ美術館の細長い廊下でやる機会があって、その時に、ま、私の作品は大きいので現場を見に行ってから考えるんですけれども、丁度ぴったりの感じにしたいと思って。で、タイトルが「幸福と絶望」ってゆうんですけど、正にその絶望の中にいて、もう何日もご飯たべれないと言うか、はぁーみたいな、適当にむしゃむしゃ(?)して。で、毎日毎日布団の中でいて、トイレだけもそもそいって、の感じの時に、あーっも絶望、もう真っ暗にバン!みたいな時に。でも2日くらい食べてないとお腹が鳴るし、なんか食べたい、チキンカツ食べたいみたいな感じがあって。(松「味噌カツじゃないんだ」)なんか髪の毛も汚くなってきて、かゆいー風呂入りたいってゆうのもあるし、爪とかも1ヶ月たっていると伸びてるし、何か髪の毛も伸びてるし。で、1ヶ月とか何ヶ月とか何年伸ばすと、体、何か単純に生きようとしてるな、と思って。ほんっっとに悲しいのに、腹が減るみたいな、グーっとか、打ちひしがれて寝てるのにみたいな感じの時に、あー何かすごい絶望的に苦しくて悲しいけど、食べ物はうまいし、友達はいるし、テレビつけたらバラエティやってるのは楽しいハハッ、みたいな感じになっていって。だからこの絵は棺の中にいる様な感じなんですけど、だけど実はこの、顔は絶望してなくて、希望を見てる顔なんですよ。私、こんなに悲しいけど生きるわ!みたいな感じで、希望を見ている顔なんで。
松井)じゃ、この絵は、生きている幸福と絶望みたいな。なんで、生きている喜びを知って、ま、ま、喜びなんだけど、絶望をして喜びを知る、みたいな。そして天を見ている見たいな。(名「そうそんな感じ」)おーっ。
名知)すごい、ギューッギューッてされる感じ、なんです。(松「そのギューッていうのは?」)ハハハハ、(「ちょっとナポレオンさんが」まあまあ・・・)
松井)あ、ごめんごめん。ギューギューは忘れて。
名知)ま、そういう事があって、描いたんですね。描きたくなって、っていう感じです。

笠木)ありがとうございます。本当に名知さんの作品、大きくてダイナミックで、あのこんなに大きな作品をこんなに可愛らしい人が、作っているというのが不思議だと思うんですけれども。少し名知さんの描き方というか、今回いろいろ材料を。先ず画面がすごくふぁーっとした感じで、綺麗な画面なんですけど、名知さんの制作の秘密と言うか、少しづつ。
名知)実はこれを描いている時は、私普段、制作中の写真なんか撮ることないし、撮ろうと思ったこともなくて。でもこれを描いている時、たまたま、知り合いの方が家に来てくれて、撮ってくれたのを一昨日くらいに発掘して、すごいしかもデータでなくて、プリントでもらったので、プリントをスキャンしてというとても見難いんですが。実はこの、途中経過はこういう感じになっていて、あのーすごい、恥ずかしいですね。すごい見てられない感じなんですけれど。
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これ実は、私、アクリル絵具と当時はスプレー缶なんですけれど。スプレー缶とかコンプレッサーを使っていて。・・・これがコンプレッサーで、これに絵具を溶いて入れて、シューって。プラモデルの色塗るやつも、えたいばんだー(?)みたいなやつでやってるんですけど。でこれ、お皿にアクリル絵具を溶いて、ってやってるんですね。
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だから、ね、あの、正にこの花、これなんですけど、マスキングを一生懸命やって、周りもこの赤い色塗らないように紙とか貼って、シューってやって、ベリベリってとるみたいな。所々すごい感じに、途中はなっているんですね。ってゆうかんじなんですよ。なんでたまにマスキングをこうベリベリって剥がした時に、思ってたものと全然違う!みたいな、はあーやり直しやみたいな、そういう時もあるんですけど。
私は普段わりといろんな資料みまくって描いているので、こういう感じで、過去自分が切り取って集めた素材とか、雑誌とか、肌色を参考にしたりとか。ちょっとこれ今やってるのが、赤毛の男の子を描いているので、赤毛の子を検索しまっくって、いたら、ハリーポッターの男の子が赤毛だったので、あ!こいつだー!って思って見てたり、しているとこですね。で、これは、うちのアトリエの全景が撮れないんですね。引きが全然なくってうちのアトリエは、撮れなくて。これもこれぐらいの大きい作品なんですけど、すごい引きが撮れないので斜めから撮るしか出来なくて、ですね。これもすごい、人が偶然撮った写真で、これは年末ひっちゃかめっちゃか間に合わないってゆう時に、友達に手伝いに来てもらって、深夜3時くらいまで、描いてたんですけれど。こうゆう感じで、パネルがもう6枚、6枚組ぐらい立てて、1枚1枚ばらけて描いているんですね。
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ばらけて描いてて、で、完成図は、これはちょっとアトリエでは見れなくて、丁度(松「会場に行って、初めて完成するみたいな」)そそそ、さっきのやつが、この間、サンワギャラリー(?)でも制作してたんですけれども、家では組んで描けないのでギャラリーに展示して、前乗り(?)して10日くらい、展示室で制作をしてる時が殆ど多くていつも。毎回いつも無理言って前乗りして描かしてもらってて、つなぎ目の変なとこ直したり、全体を見れるから、はぁーっていうとこ直したりとか、する。それで、完成形がこう言う感じ、なんですけど。これは、HPにも載っているので。そうなんです、おっきいから。(「苦労は」)苦労は、激しい、特にこの、これとこれは、上下も8メートルくらいあって、うちのアトリエは、2.5mしか天井高がないので、上下は組めないんですね。なので、上下を横にして、も、こういう感じで見ながら、こうやってやる、みたいな、感じですね。
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松井)特にあれとか、パズルみたいだよね。四辺形だよね、たしか。
名知)あ、正方形の住まいだから。も、早く全部の壁に途中の絵が並んでて、さっきのここ正にそうなんですけど。全部の途中の絵が並んでて、あそこも描かなきゃいけない、こっちも描かなきゃいけないし、この絵の裏にもう1枚あるし、みたいな。どこ見てもこっちの事が・・、すごい気が狂うようでしょ。
笠木)大きな絵を手掛けられるならではの、苦労話ですかね。
名知)美術館とかで前乗りする時はすごいだから、幸せを感じますね。広いし暖かいし。(ハハハハ)

笠木)じゃあそれぞれ皆さんから、質問お願いします。
松井)名知さん、久しぶり。(ヘヘヘヘ)あ、かつらが。名知さんとは、私は、一瞬、京都精華大学で、私、今、講師をしてるんですけれども、あの私、留学している間に名知さんにバトンをタッチして、代わっていただいた背景とか、今、名古屋芸術大学で、教鞭を取っていらっしゃると思うんですけれども、教えることが多いですか?(「あ!あー」)どういう事教えますか。
名知)えーと、京都精華ではあの、なんだっけ、デッサンとクロッキーだと思うけど、名古屋芸大では私が担当しているのは、ニエテ(?)なので、わりともう自由制作含みの授業になっていて。ま、毎回、1ヶ月に1個とか2ヶ月に1個、課題がドローイングだったり、100号サイズ1枚描けるので、それをやってるところに行って、「おはよう」とか言って。アトリエで、各ブースで、あの部屋が出来てるので、ま、壁を立ててなんですけど、ま、そこへ行って「やってる」なんて感じていって、話をして、て言う感じですかね。
松井)なるほど、名古屋の子ってあの、ま、京都、ま私もアカデミックと言えばアカデミックと思うんですけど。名古屋の子ってすごく自主性がある様な気がして。どうでしょうか、なんか、京都と比べて。
名知)ま、(?○○?)コースだったので違うんですけど、洋画と。でもかなり名古屋、やっぱ東京と京都や大阪の中間で、のんびりしてて、名芸なんか特に田圃の中に、(「あ!そうなんだ」)駅から20分以内で田圃の中歩いて、着いてみたいな感じなので、その辺がすくすく、(「のびのび」)すくすくのびのび、やりたい事を、他にあまり気が散らずに出来る環境ではあるかな、って言う感じ。
松井)今日、名芸の方! あ、いるー。すごーいやっぱり名知さん慕われている。
笠木)ありがとうございました。名古屋はやっぱりじっくり作品を作るには、向いているっていう事、ここで活動されている作家さんからよく聞きますね。ハイじゃあ・・・

近藤)うーんと何度か実物の絵を(「あ、かぶってますね」)かぶってますね。なんかいつも自分だなって思って、その名知さんだなーって思うんですけど、他の人を描くことはあるんですか?
名知)すごい仲のいい友達は、結構定期的に描いていて。なぜかって言うとその子と一緒に遊んだり、悩みを聞いたり、喜んだり悲しんだりしてるとだんだん他人事(ひとごと)ではなくなってきて、自分となんかリンクすると言うか、私も一緒になって、うーってなってるとか、すご嬉しいーっ!みたいなとかが、すごい他人事でなく、なって来て描きたいと思うと、わりと友達は描くのがあるのと。ま、あともうひとつは、そうですね。けっこう具体的に誰っていう人は、モデルがいるんじゃなくって、私の、ま、妄想と言うか想像と言うか、そこから発生した人物を描くときも。ミューズ、ボーイとかなんかそういう男の子だったり、なんか、なんだそれっ!ていう生い立ちがあるんですけど、あ、でもそれを踏まえて、どうしても描きたくなって、その架空の人を描いたりとかもします。
近藤)じゃーえーとですね、まーあのー、今回この高橋コレクションの展示って名知さんに限らず、あの、皆さん最近の作品、の方もいると思うんですけど、ちょっと時間が経ってる作品が展示されていて、メインホールのとこ見ていただくと、あの、ばらばらの月日に、ま、描かれたとか作られた作品なんですけど。今回この名知さんの作品で、あの先ほど何か、その恋愛をなんか気持ちとか、そういうのを、が、あって描いたという事を伺って、なんか恋愛とかそういう恋する気持ちって、わかんないですけど、他の感情に比べてわりと移ろい易いっていうか、あの、変わりやすい感情の様な気がして、何回か見てると思うんですけど、久々にまたこの作品を目の前にして、何か、描いた当時とまたいろいろ感情が違う、のかなーっと思って、その辺はどうかなと、思いまして。ハイ。
名知)すっごいあって、何か去年、川鉄トリュースター(?)でも出したんですけれども、でもその時もすっごいあって、特に6年前、で、これーはーあたしの中でやっぱ、私の中で転機となる作品で、ここまでおっきくて、描写が多くて、ま、何が描写かなんですけれども、というのが、だったし。その、でっかーいブレイクハート何かもして、すごい今見ると、ま、技術的な面はもちろん、あーっとかいろいろ思うんですけど。でも単純にこれ「幸福と絶望」っていうタイトル何ですけど、この時、何に私は絶望していたのかってのが、ちょっとなんかわかんなくなったんですね、最近。なんか、状況とか覚えているんだけど、いっぱい泣いたりとか、あそこでギャーギャー怒った(?)とか。でもなんかその時の、絶望、なにに?っていう、その感覚が、なんかもう無いな、っていうのがあって。さっき言ってた、その当時、その時しか書けないって言うのと同じだと思うんですけど。特に恋愛は移り変わりが激しくて、わたしの愛(?)をポートフォリオで見ると、分かるんですよね。だんだんこう来て、あ、上って来たとか、またガーンて落ちてるとか、すっごい分かって。という(「日記みたい」)、そうほんと日記みたい。で、その当時の感じがなんとなく思い出せる、というか、そういう感じ、ですねー。
松井)なんか、自画像っていいね。へへへへへ すごく興味深いモチーフだなって、私も思います。
笠木)ありがとうございます。作家さんは、ね、自分をさらけ出す様に・・・大変な事だと思います。

質問A)HPはありますか。
名知)HPは無くて、小宮山登美夫ギャラリーに作品が載ってます。あと、よく何でこんなにデカいんですかと聞かれるんですけど。(松「何でこんなにデカいんですか!」) 場所取って、金架かるのに、みたいな。それは私は、やっぱそのー、たったひとりの人に見に来てほしい、その人に見に来て欲しいって感じが強くて、その人がこの絵を見た時に、私しか見えないみたいな、他に何も見えんみたいな。私だけ見て!ってしたくて、私はわりと大きく作品を作るんです。私しか、他の誰か見なくていいから。私だけ!みたいな。・・っという意志の表れでした。

質問B)「値段のつけ方・・・」
名知)そう、その時は全然もう値段とかもわかんないし。これ買う人いるの?みたいな。どうすんのこれ買って、て言う感じだったんで。(「大きいもんね」)
笠木)ま、お値段はないしょで。 じゃ、あとおひとり。

質問C)「私だけ見て」と言ってましたが、見た人にどうとらえられるかは、どのくらい気にしますか。
名知)それは私、全く考えないタイプで、もっと言うと、画材とかも、ラッカースプレー使ってるんですね、当時。今はもう使ってないですけど。保存方法とかは、全く考えないタイプで。何か見る人、こうやって皆さんいっぱい来ていただいて嬉しいんですけど、の事は全く考えてないですね。その人のことばっか考えていて。その人、どうにか見に来い!みたいな感じ。で、だからそう、でこんないろんな人が見に来てくれて、新聞とかに載ったり、口づてで聞いて、見に来てくれたらいいな。
松井)たったひとりの鑑賞者の為に作った作品。
名知)わりとそういうのが多いですね。なんか、たったひとり、たったひとりですね。それが誰なのかとか、日々変わって来るんですけど、だからそうですね。考えないですね。
笠木)伝わりますよね。誰にでも失恋の経験とか、あると思うので。そういう気持ちがより伝わると言うのか、納得するような形で、きっとその人にも届いていると思います。
名知)恥ずかしい、いつも作品説明の時に、「恋愛がー」て言ってたらすごく恥ずかしくて。お前さー、痛いわ、みたいな感じになっちゃって、すいません。
松井)画家ってね自分の気持ちを絵に込めちゃうからね。言葉で言えないから。
笠木)そう言う気持ちで皆さん、会場の絵を。どんな気持ちで描いたんだろうっていう事を想像しながら、見ていただけたら良いかと思います。 ありがとうございました。

======<「その4」に続く>========

名知さんの作品は、先ずはその大きさに目が行くのだが、タイトル「幸福と絶望」を見た時、少々違和感。どこが”絶望”なのだろうか? その訳は、失恋であると、トークの中で明かされるのだが、やっぱり少々違和感。筆者と同様、失恋の経験を掃いて捨てるほど持つ人も多いと思うが、その度に絶望しているわけでもない。話を聞いて思ったのは、名知さんの感情の振幅の大きさor激しさの様なもの。このひとつの事へのこだわりや、感情の激しさが、巨大作品を生み出す原動力になっているのかな、と思った次第。
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