トヨタ コレオグラフィーアワード 2014
トヨタ コレオグラフィーアワード 2014【次代を担う振付家の発掘・育成を目的に】の最終審査会が、世田谷パブリックシアターで、8月3日(日)15:00~18:30に行われました。作品はすべて拝見したのですが、結果発表は、19:30過ぎの予定だそうで、帰りの新幹線に間に合いそうもなく、断念。ネットで確認したら・・・
『次代を担う振付家賞』川村美紀子さん
『オーディエンス賞』 川村美紀子さん
ダブル受賞だ。ま、実際に会場でそのパフォーマンスを見た人は、納得でしょう。拍手の鳴りが違いました。

この最終審査会は、203組の応募の中から選考会 を経て選出された6名のファイナリストが、振付作品を上演。審査委員による「次代を担う振付家賞」1名、観客投票による「オーディエンス賞」1名を決定するもの。ファイナリストは以下の方々。(上演順に振付者名と作品名)
捩子 ぴじん(ネジ ピジン)「no title」
スズキ 拓朗「〒〒〒〒〒〒〒〒〒〒」
木村 玲奈 「どこかで生まれて、どこかで暮らす。」
塚原 悠也 「訓練されていない素人のための振付けのコンセプト001/重さと動きについての習作」
川村 美紀子「インナーマミー」
乗松 薫 「膜」
各組(2名~10名位)約20分で作品を上演。ダンス評論家の亀田さんが言うように、「今注目のダンサーが一堂に会するので、かなり贅沢なダンス公演」でしたね。休憩含めて3時間半でしたが、あっという間でした。
どの作品もすばらしいのですが、やはりダントツは、川村美紀子です。

ダンスの原点、肉体とその動きを、ストレートに見せてくれたと思います。川村と3名の女性ダンサーが繰り広げるパワー溢れるその動きの衝撃波は、会場全ての観客のハートを大きく揺さぶった様です。
振付の内容を見ると、始まりはフラッシュライトにより、暗闇の中の踊るダンサーの姿がストップモーションの様に映し出され、その肢体の美しさを見せてくれます。この辺りは、今回の工夫と思われますが、他は、従来、川村がよく使う手法です。スポットライトに照らされた四角いスペースにダンサーが(ひとり)入って踊ります。曲はとてもダンスミュージックとは言えない、「地震予報速報」だとか「横断歩道のメロディ」「エレベーター案内」(他にもいろいろあったけど忘れた)等。これが、二人、三人と同時に踊るとミュージック(と言うか音ですね)も混線状態で何を言っているのかわからなくなるけれど、それがまた、ダンサーの激しい動きと相乗効果になり、圧倒的なパワーの衝撃波となって、観客を襲います。腕を振り、足を蹴り上げ、首を回して、腰をくねらし、突き出す。あまりのパワーに心地よささえ感じます。
時折、動きが、フッと止む瞬間があります。次のダイナミックな動きへ向けた”ため”。これらは、従来の川村の作品によく見られるものですが、今回はあまり小細工はせずに、シンプルな構成で、圧倒的なパワーを前面に押し出したと思われます。衣装も、白いブラジャーと黒いパンツ(ダンサー毎に若干デザインに違い:短→七分→ロング)と、シンプルです。(個人的には、こうゆうのすきですが)
終わりに近いところで、キューピー(人形)が出てきます。これも川村作品に時折登場するアイテムです。今回は、少々凝っていて、ラジコン仕掛けの台車に乗り、舞台の端から反対側まで移動します。それを見つめる川村。激しいダンスの合間の静寂。最後は、ダンサー4人が、中央にキューピーを挟んで横一列で踊ります。(笑)
事前予想では、塚原悠也と川村美紀子の一騎打ちと言われていましたが、川村のパワーあふれるストレートパンチが、タイミングよく決まった、のでしょう。今後の活躍が期待されますね。
(授賞式の様子など)
それにしても、川村さんの名古屋公演の話は、全く聞こえてこないですね。
唐津絵理さん(愛知県芸術劇場シニアプロデューサー)が、何とかしてくれないものでしょうか。
そうそう、それと塚原悠也(→コンタクトゴンゾ)。

「訓練されていない素人の為の振付コンセプト001/重さと動きについての習作」
contact Gonzo:「コンタクト・インプロビゼーション」(体重のやりとりを行ないながら2人〜集団で動く即興=インプロヴィゼーションの形式) なんだけど、俗には、格闘技を思わせるパフォーマンスとか、殴り合う即興的な身体の接触etcの様に言われている。それは、ダンスなのか?とも言われるが、ま、パフォーマンスではある。しかし、今回は、「次代のダンスを対象とし、その振付家」の選考会なのだが、これまでのものに比べても殆ど動きが無い。

出演者は4人。ひとりが舞台中央で寝そべる。顔から胸にかけてをTVカメラで写す。画像は、舞台後方のディスプレイに表示される。と、もうひとりが、ねている人の上に立つ。それだけでなく、リュックの中から本を取り出し抱える。益々重くなって、下にねている人は、思わず「グフッ」と苦しそうにもがく。それも気にせず、上に乗った人は、更に大量の本をリュックから出して、抱える。益々重くなり「グフッ」。近くにドラムが置いてあり、寝そべる人は、手元のボルトをドラム目がけて投げる。当たって、「ドン」と鳴る。
舞台、-「暗転」-
舞台後方の段ボール小屋から人が出てきて、笛を鳴らす。頭には、赤いLEDランプの様なもの。インスタントカメラの様なもので、バシッとフラッシュを焚く。と、舞台が明るくなり、笛を吹く人は段ボール小屋にもどる。
中央では、再度、寝そべる人の上に人が立つ。・・・これを延々と繰り返す。
後半、塚原が大きな石をかかえて登場。それを人の上に置こうとする。「グフッ」たまらず、ボルトを投げて、ドラムが「ドン」
舞台-「暗転」-
再度繰り返す。最後は、後方の段ボール小屋に、重なり合いながら入って行く。
コンタクトゴンゾの特徴は、そのパフォーマンスの「圧力」の様なものだ。殴り合いながら身体接触したり、寝そべる人の上に乗ったり。鑑賞者は、その行為に「圧力」を感じる。この圧力、支えるものが必要だ。だから、音が出る小道具を利用する。笛を吹いたり、ボルトを投げてドラムを鳴らしたり。圧力を受け止める事で、圧力を感じさせる。
舞台背景は、他のダンサーのものとは異なる。カーテンではなく、パイプで作った足場の様な構造物に照明装置が取り付けられている裏方をそのまま見せている。これも圧力を受け止める装置のひとつ。(あいちトリエンナーレでは、梅田哲也の段ボール・インスタレーションが、その役割を果たしていた)
とにかく、6組のファイナリストの中では、異彩を放つパフォーマンスである事は、間違いない。
6組の上演が終了後、帰ろうとしてロビーに向かったら、「訓練されていない素人の為の振付コンセプト001/重さと動きについての習作」 の仕様書が、配られていた。contact Gonzo official site でも掲示されているので、ご参照下さい。
『次代を担う振付家賞』川村美紀子さん
『オーディエンス賞』 川村美紀子さん
ダブル受賞だ。ま、実際に会場でそのパフォーマンスを見た人は、納得でしょう。拍手の鳴りが違いました。

この最終審査会は、203組の応募の中から選考会 を経て選出された6名のファイナリストが、振付作品を上演。審査委員による「次代を担う振付家賞」1名、観客投票による「オーディエンス賞」1名を決定するもの。ファイナリストは以下の方々。(上演順に振付者名と作品名)
捩子 ぴじん(ネジ ピジン)「no title」
スズキ 拓朗「〒〒〒〒〒〒〒〒〒〒」
木村 玲奈 「どこかで生まれて、どこかで暮らす。」
塚原 悠也 「訓練されていない素人のための振付けのコンセプト001/重さと動きについての習作」
川村 美紀子「インナーマミー」
乗松 薫 「膜」
各組(2名~10名位)約20分で作品を上演。ダンス評論家の亀田さんが言うように、「今注目のダンサーが一堂に会するので、かなり贅沢なダンス公演」でしたね。休憩含めて3時間半でしたが、あっという間でした。
どの作品もすばらしいのですが、やはりダントツは、川村美紀子です。

ダンスの原点、肉体とその動きを、ストレートに見せてくれたと思います。川村と3名の女性ダンサーが繰り広げるパワー溢れるその動きの衝撃波は、会場全ての観客のハートを大きく揺さぶった様です。
振付の内容を見ると、始まりはフラッシュライトにより、暗闇の中の踊るダンサーの姿がストップモーションの様に映し出され、その肢体の美しさを見せてくれます。この辺りは、今回の工夫と思われますが、他は、従来、川村がよく使う手法です。スポットライトに照らされた四角いスペースにダンサーが(ひとり)入って踊ります。曲はとてもダンスミュージックとは言えない、「地震予報速報」だとか「横断歩道のメロディ」「エレベーター案内」(他にもいろいろあったけど忘れた)等。これが、二人、三人と同時に踊るとミュージック(と言うか音ですね)も混線状態で何を言っているのかわからなくなるけれど、それがまた、ダンサーの激しい動きと相乗効果になり、圧倒的なパワーの衝撃波となって、観客を襲います。腕を振り、足を蹴り上げ、首を回して、腰をくねらし、突き出す。あまりのパワーに心地よささえ感じます。
時折、動きが、フッと止む瞬間があります。次のダイナミックな動きへ向けた”ため”。これらは、従来の川村の作品によく見られるものですが、今回はあまり小細工はせずに、シンプルな構成で、圧倒的なパワーを前面に押し出したと思われます。衣装も、白いブラジャーと黒いパンツ(ダンサー毎に若干デザインに違い:短→七分→ロング)と、シンプルです。(個人的には、こうゆうのすきですが)
終わりに近いところで、キューピー(人形)が出てきます。これも川村作品に時折登場するアイテムです。今回は、少々凝っていて、ラジコン仕掛けの台車に乗り、舞台の端から反対側まで移動します。それを見つめる川村。激しいダンスの合間の静寂。最後は、ダンサー4人が、中央にキューピーを挟んで横一列で踊ります。(笑)
事前予想では、塚原悠也と川村美紀子の一騎打ちと言われていましたが、川村のパワーあふれるストレートパンチが、タイミングよく決まった、のでしょう。今後の活躍が期待されますね。
(授賞式の様子など)
それにしても、川村さんの名古屋公演の話は、全く聞こえてこないですね。
唐津絵理さん(愛知県芸術劇場シニアプロデューサー)が、何とかしてくれないものでしょうか。
そうそう、それと塚原悠也(→コンタクトゴンゾ)。

「訓練されていない素人の為の振付コンセプト001/重さと動きについての習作」
contact Gonzo:「コンタクト・インプロビゼーション」(体重のやりとりを行ないながら2人〜集団で動く即興=インプロヴィゼーションの形式) なんだけど、俗には、格闘技を思わせるパフォーマンスとか、殴り合う即興的な身体の接触etcの様に言われている。それは、ダンスなのか?とも言われるが、ま、パフォーマンスではある。しかし、今回は、「次代のダンスを対象とし、その振付家」の選考会なのだが、これまでのものに比べても殆ど動きが無い。

出演者は4人。ひとりが舞台中央で寝そべる。顔から胸にかけてをTVカメラで写す。画像は、舞台後方のディスプレイに表示される。と、もうひとりが、ねている人の上に立つ。それだけでなく、リュックの中から本を取り出し抱える。益々重くなって、下にねている人は、思わず「グフッ」と苦しそうにもがく。それも気にせず、上に乗った人は、更に大量の本をリュックから出して、抱える。益々重くなり「グフッ」。近くにドラムが置いてあり、寝そべる人は、手元のボルトをドラム目がけて投げる。当たって、「ドン」と鳴る。
舞台、-「暗転」-
舞台後方の段ボール小屋から人が出てきて、笛を鳴らす。頭には、赤いLEDランプの様なもの。インスタントカメラの様なもので、バシッとフラッシュを焚く。と、舞台が明るくなり、笛を吹く人は段ボール小屋にもどる。
中央では、再度、寝そべる人の上に人が立つ。・・・これを延々と繰り返す。
後半、塚原が大きな石をかかえて登場。それを人の上に置こうとする。「グフッ」たまらず、ボルトを投げて、ドラムが「ドン」
舞台-「暗転」-
再度繰り返す。最後は、後方の段ボール小屋に、重なり合いながら入って行く。
コンタクトゴンゾの特徴は、そのパフォーマンスの「圧力」の様なものだ。殴り合いながら身体接触したり、寝そべる人の上に乗ったり。鑑賞者は、その行為に「圧力」を感じる。この圧力、支えるものが必要だ。だから、音が出る小道具を利用する。笛を吹いたり、ボルトを投げてドラムを鳴らしたり。圧力を受け止める事で、圧力を感じさせる。
舞台背景は、他のダンサーのものとは異なる。カーテンではなく、パイプで作った足場の様な構造物に照明装置が取り付けられている裏方をそのまま見せている。これも圧力を受け止める装置のひとつ。(あいちトリエンナーレでは、梅田哲也の段ボール・インスタレーションが、その役割を果たしていた)
とにかく、6組のファイナリストの中では、異彩を放つパフォーマンスである事は、間違いない。
6組の上演が終了後、帰ろうとしてロビーに向かったら、「訓練されていない素人の為の振付コンセプト001/重さと動きについての習作」 の仕様書が、配られていた。contact Gonzo official site でも掲示されているので、ご参照下さい。
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