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札幌国際芸術祭 宮永愛子《そらみみみそら》

 札幌国際芸術祭(2014.7/19-9/28)のメイン会場のひとつ札幌芸術の森美術館に、宮永愛子の作品《そらみみみそら》がありました。(8/28訪問)展示室に入ると、まず中央に置かれた大きなトロッコが目を引きます。その赤茶けた錆だらけのトロッコを取り囲む様に、床には白い陶器が、同心円を描くようにぐるりと並べられ、上からつるされたガラス板の上にも3個、載せてあります。

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今回は、以前(2005年)展示した作品《そらみみみそら》の発展形だそうで、説明では、「サウンド・インスタレーション」、陶器の底に塗られた釉薬(ゆうやく)の割れ-「貫入」(かんにゅう)-の音を聞かせるものです。
宮永さんは、この作品の構想を練っていた時、美術館の隣を流れる豊平川の話を聞いたそうです。実際にその川を遡って行き、古い鉱山跡にたどり着きました。更にその地下深くに、鉱物を採掘した後の大きな空洞があり、地下からの湧水や地面からしみ込んだ水が溜まった地底湖の様なところまで足を進めたそうです。この地下深くの水、豊平川の水源のひとつである水を、陶器の釉薬に混ぜて使ってみようと考えました。展示室に置かれた赤錆たトロッコは、この鉱山で使用されていたものです。

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「貫入」による音とは、どのようなものでしょうか。一般に陶器は、粘土の素焼のままでは、水を吸収しやすいため、表面に釉薬を塗り、その後、窯で焼く事により、表面を釉薬が変化したガラス質で覆う事が出来ます。今回の展示の陶器は、器の底に釉薬が溜まり、少し厚くガラス質の層が出来ています。「貫入」とは、このガラス質の釉薬が、陶器素地との収縮度の違いにより、冷えて行く時、割れ(またはひび)が発生すると事を言います。宮永さんは、釉薬の調合により、この貫入が、断続的に発生する様にしました。つまり、陶器を置いておくだけで、断続的に「貫入」が発生し、ガラス質となった釉薬が割れる音が聞こえるわけです。宮永さんの実家は、陶芸家(実際に窯場も持っているそうです)なので、この様な事もご存知なのですね。
実際に、作品に聞き耳を立てていたのですが、よくわかりません。定期的に、丁度、3分毎に発生させる、と言ったところまでコントロールは、できません。結局、鑑賞者は、いつどんな音が聞こえるか、わからないままじっと作品を見つめ続ける事になります。

 「チン」!

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突然、小さな音ですが、確かに聞こえました。ガラス質のものが割れるならば、「パリッ」!の様に想像していましたので、意外でした。フライパンの底を大きなスプーンで叩いた様な音です。「チン」!と「カン」!の中間くらいでしょうか。
この「貫入」は、陶器を焼いた直後の、まだ不安定な状態が、安定へと向かっている現象と考えられます。一見、何の動きもない陶器ですが、目には見えない変化の継続を表している様で、時間の流れをも感じさせます。
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