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アーツチャレンジ2015見学ツアー(片岡純也

アーツチャレンジ2015(2015.2/17-3/1)見学ツアー(片岡純也
 愛知芸術文化センター館内13か所 (2/17(火)14:00~16:15)
※案内は、選考委員の信州大学人文学部准教授の金井直(かない ただし)氏。

◇片岡 純也 《Sound of the Sun》 音響インスタレーション作品 11階展望回廊
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 片岡です、宜しくお願いします。天気が悪いんですけど(この日は曇り)、この作品としてはすごくいい日で、音がささやかに鳴って。
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で、これがどういう仕組みで鳴っているかをご説明すると、ソーラーパネルがあるんですけれども、この吸盤で貼ってあるのがソーラーパネルなんですけれども。
IMG_9510_convert_20150221225845.jpg
ここに光を受けて、白いコードを通って下の方に、ガラスの上に「木」の丸いのがあるんですが、そこに振動モーターが入っていて、ソーラーバネルで作ったエネルギーが、電気エネルギーになって、で振動モーターがチョット動く事によってガラスを叩いて音がなるというものなんです。
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 だから太陽の光がもっと(強い)天気の時とかは、すごくうるさくなって、長時間居たくないなみたいな気になるかもしれないですけど。けど今日は、ささやかな、耳を澄ますとちょっとづつ聞こえてくる様な、すごくいい日だと思います。雲の動きとか太陽の傾きによって、音が変わって行くんですね。それは、この空間に降り注ぐ光の量を、いわば聴覚化したという様に言えるんですね。ほんとにチョットした雲が入るだけで音が変わったり、西日が射すとすごくうるさくなったりとか。この空間に入って来る光の量を聴覚化する事で、もっとよく感じる事が出来るという作品になっています。
 僕の作品は、こういう装置を使ったものが多くて、自分ではその作品群の事を「作品的実験」と言ってます。「実験的作品」ではないです。自分の身の周りで起きているいろんな物理的現象を観察して、再現したり、(例えば)音とか光の変化とかそういうものに変換する事で、作品かしています。
 身の周り(にある事)に目を向ける事で、自分の中の世界がすごく広がって行きます。密度が上がるというか。チョットした事に、一個一個硝子の(ガラスの器の)音が違うという事、そういう事で自分の生活というか感覚が、豊かになって行くと思うので。私の作品を見て、皆さんにやってもらいたい事というのは、自分の身の周りの事に、例えば、鍋のポコポコしている音とかを面白いなと思ったり。そういう身の周りを観察する事で、皆さんの感覚もどんどん広がって行けばいいかなと。そんな意図はあります。
静かにするとよく音が聞こえると思いますが。晴れた日に来てもらうと、また全然違う様な音になっています。うるさいくらいです。ガラスというのが、ここに光が当たって音が生まれた様な、はごろもフーズのCMじゃないですけど、ウォータークラウンみたいなイメージで光がこう反射して、ガラス(の器)みたいな形で広がって行く様なイメージ(※ガラスの器から音(「チーン」)が広がる様子をウォータークラウンに例えている)もあってガラス(の器)を選びました。

<質問コーナー>
Q1)夜だとどうなるんですか?
片岡A)夜は全然鳴らないです。(ビルの照明では→)だめです。日が落ちたらならないけど、朝は自動的に(鳴ります)。お家にあれば目覚ましにいいと思います。
Q2)鳴る頻度は、光の強さだけですか?
片岡A)そうです。個別に調整しているわけでは無いです。全て同じシステムです。ですから、窓に張り付けた位置が1m位違うだけでも、光の量がチョットだけ違うんです。だから、最初、(複数が)同じ様にトントンと鳴り始めても、トトトントトトン・・・の様にちょっとずつズレていきます。そういう微妙な変化を聞く事が出来ます。
金井)設置の時、どういう意味で(取り付け位置の)高さを決めているのかと気になっていたのですが、音の速さとかも違って来るのですね。
片岡A)そうです。それで取り付け位置をバラバラにしています。
Q3)音階を意識しているわけでは無い?
片岡A)そうですね。音階は意識してなくて、ガラスの持つ物質的なもので変わってきます。
Q4)あそこの(太陽電池の裏についている回路)ところで、一度、電気を貯めているのですね。
片岡A)そうです。振動モーターを動かすのに十分なエネルギーが貯まると、電気が放出されて動くようになっています。だから晴れた日は、貯まるのが早いから、トントントン・・・・という風に。
Q5)この展示ですと他のところでも出来ますね。想定されているところはありますか。
片岡A)以前、5個くらいでやったりしたんですけど、面白いのは、前に木が生えていて、風があると葉っぱの影に入ってり入らなかったりでタイミングが変わったりとかして、面白かったです。

金井)また時間を変えて来ていただくと、片岡さんの世界が開かれて行くと思います。片岡さん、ありがとうございました。
片岡)ありがとうございました。

***********************

 晴れた日に、再度展望回廊を訪れたら、にぎやかなガラスの器の大合唱になっていた。確かに、曇りの日の「チリン・・・」といった落ち着いた風情ではない。多くのお客様が見えていたが、大半は、なんとなく音を聞きながら通り過ぎる感じだったので、仕組みについて簡単に説明を試みた。光を音で表現するとの話を聞かれると、作品を見る目が変わって来るのがわかる。現代アートを楽しむには、若干の情報提供が必要なのだと改めて思う。

 その日は、作家の片岡さんも見えていたので、少し話を伺った。
-太陽電池や蓄電等の回路は、どなたが作ったのですか?
片岡)自分で作りました。ネットで探すと、回路の作り方等の情報が結構載っています。部品は、秋葉原やネットShop等で買いました。振動モーターも(携帯のバイブレーションと同じ)50円位で売っていました。
-ガラスの器を叩く部分はどの様になっているのですか?
片岡)振動モーターで直接叩くと、音が高く大きいので(こんなに数が多いと)うるさくなる。それで、柔らかくする為に、木を使っています。この近くの東急ハンズに行ったら、ネックレスを作る素材の様な(数珠の様な)「木の粒」があったので、その中をくり抜いてモーターを埋めました。
-ガラスの器は、どの様に集めたのですか?
片岡)中古のものを購入しました。一部フランスに行った時、パリののみの市で購入したものもあります。
-日中は賑やかですが、夕日が沈むと同時に、この音は消えるのでしょうか。
片岡)日の入りと時を同じくして、すっと消え入ります。

※確認の為に、日の入り時刻の17:20頃に、再度、展望回廊に来てみた。
夕日は、一部がビルの影に隠れているので、弱々しい音になっていた。17:30過ぎ、夕日が沈み、遠く地平近くの雲の輪郭を赤く見せるだけとなった頃には、ほとんど音は聞かれなくなった。

片岡)「自分で言うのも何ですが、うまくいきましたね」

************** 夜の展示 ******************
金曜の夜は、20:00まで鑑賞できる。
でも、太陽電池が全くきかないので、展望回廊の作品は、静まり返っている。
時折、お客様が見えるが、何の展示なのか理解できずに帰って行く。
これではいけないと、LEDライトを準備した。
壁側に取り付けてある作品の太陽電池部分にLEDの光をあてる。
数秒程じっと待つ、・・・・ 「チン」
静寂の中でのグラスの音は、日本庭園の鹿威しの雰囲気だ。
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