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アーツチャレンジ2016伊藤久也

アーツチャレンジ2016
期間: 2016年2月23日(火)〜3月6日(日)
場所: 愛知芸術文化センター

伊藤久也 : 《悪のカタチ》
-誰しも心の中に少なからず
 持っているであろう悪という存在。
 そのカタチについて幾つかのケースを
 集め、探っていく-

『皆さんには、それぞれの心の中にある「悪」について向き合っていただいて、それを粘土によってカタチに表していただきます。また、皆さんの「悪」についてインタビューさせていただきます』というワークショップが2月にあり、そのインタビュー映像と焼成した粘土造形を作品として出品している。
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 ワークショップは、ここ愛知の他に、東京、神奈川でも行われた。WSの参加者は、小さな子供からおじいさんおばあさん世代まで様々で、作家の言う「心の中の悪」の捉え方もいろいろだった。何より粘土で作った悪の姿も、トゲトゲだったり、長い牙の大きな口やエイリアンの様に体内から出てきたり、バラエティに富んでいた。
 粘土の焼成は、言ってみれば野焼きで行われた。空地で焚火の様に火を起こし、その周りに置いて乾燥させ、徐々に火の中に入れて焼き固める。それで灰が付着し、所々黒ずんでしまったものある。しかし、うまく乾燥させる程の時間の余裕がなく、火に当って割れてしまったものもあった。
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 ↓「焼成の時、爆発しました」(作家)
   (「中から悪が飛び出したのか」との質問もあったが、そうではない)
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 インタビュー映像では、WS参加者が、なぜこの様な「悪の形」を作ろうとしたのか、また自身の「悪」について語っていて面白い。
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 見ていて少々引っかかったのは、「悪い事(悪い行い)」と「悪い心」の話が混在している様に思えたからだ。よく聞かれた話題は、昔こんな事をしたとか、「若い頃は、悪い事するのが楽しかったし」とかの様な、実際に行われた「悪い事」の説明が多かった。その時、彼の心の中には、「悪」が存在したのだろうか。
 例えば、大人がコンビニで菓子をポケットに入れたら犯罪(悪事)で、その人の心の中に「悪」がいると多くの人は考えるが、よちよち歩きの小さな子が、菓子を1個摘んだとしても、その子が悪人であるとは思わない。欲しいと思ったので、手に取っただけ。結局、心の中に「悪」がいると判断するには、社会のルールの理解が前提になってくる、と思う。社会のルール(やってはいけない事)を理解し自覚した時、その影として心の中に「悪」が生まれるのかもしれない。
 普段はあまり考えもしない事だが、粘土作品や映像を見て鑑賞者に「悪」について考える機会を提供するのが作者の意図なのだろう。

このくらいの子には、「悪の心」は全く感じられないけど。
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