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木村 充伯 《We Mammals》

木村 充伯(きむら みつのり) 《We Mammals》
期間: 2016年5月7日(土)〜6月11日(土)
場所: ケンジタキギャラリー(名古屋)

木村充伯がいい。
ギャラリーの入口を入って目に飛び込んできたのは、合板の表面を削って描かれた動物や人。
《出現》
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《ラッコ》
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《狼と豹とその息子》
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これまでの木村の彫刻やドローイングと同様に、姿かたちはシンプルで、仕草や表情からはユーモアを感じる。目は、ぱっちりと開かれて、さめた様な視線をこちらの方に向けている。
でも、今回の作品は、これまでと比べると随分と違った印象を受けた。「変わった」ではなくて、「進化」している感じ。それは、存在感なのかと思う。

《We Mammals》 我ら哺乳類
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絵画作品は、合板の表面を動物の形状に、わずかに削って着色したものだが、そこに削り残しというのか、けずり跡の毛羽立ちが、「哺乳類」の毛を思わせて何ともいい。
この合板を木村は、「毛が生えるパネル」と呼んでおり、チェーンソーで板の表面を削って、毛羽立ちを作るのだそうだ。合板表面を削ったときのささくれが、とても微妙なので、道具を使った手作業によるものと思ったが、そうではないので驚いた。「毛」を表現したいのなら板の上にボソボソしたものを後から接着する方法もあるのだろうが、「毛は後からつけるものじゃなくて、生えるもの」(木村)なので、そうしないらしい。
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左側の壁面には、人も含めた猿や熊等の哺乳類の彫刻7体が、背を壁にくっつけて並んでいる。こちらも表面の造作は、チェーンソーを使ったのだろう、削った後の毛羽立ちが、ボソボソとした手触りの体毛になっている。
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《ブラック》
 奥の壁の1枚は、合板の全面を削って、言わば真っ黒な「毛だらけ」にして、そこに5対の「目」だけを描いている。
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楠を加工し、表面に毛羽立ちを作るやり方は、2014年の《鳥の死角》展(ケンジタキギャラリー)で見せていたが、彫刻の毛の量は、まだいまいちだった。今回の「毛が生えるパネル」絵画では、チェーンソーを使用したとは思えない程の「フサフサ毛」の仕上がりになっており、「哺乳類」の毛皮感を醸し出している。

《森の中で》 複数絵画のインスタレーション
複数の(「毛が生えるパネル」の)鳥や小動物の絵画が、森の中の様に配置されている。
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★☆★☆★☆★☆★☆★☆
ギャラリー内に、昨年末(2015.10-12)に国際芸術センター青森で開催した、アーティスト・イン・レジデンス展覧会『航行と軌跡』の資料が、木村作品の参考として置いてあった。そこには、「毛が生えるパネル」絵画の他に、以前から取り組んでいる油絵具を使った彫刻作品もあった。

これがいい。

《祖先は眠る(2匹のサル)》 《祖先は眠る(テン)》
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従来にない、絵具の表面を毛羽立たせて、動物の毛皮感をだしている。目は瞑ったまま、顔を横にして寝ている。これは、生きているのか死んでいるのか。
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