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あいトリ2016)佐々木 愛  《はじまりの道》

佐々木 愛  《はじまりの道》
豊橋市駅前大通 開発ビル9F
(あいちトリエンナーレ2016: 8/11~10/23)

壁一面の真っ白な石膏ボードの上に、乳白色のロイヤルアイシング(砂糖+卵白)で描いた壁画。天井には、横一列に並んだ照明が、白地に白い材料で描いたドローイングに影を作り、様々な植物や鳥等のモチーフを、くっきりと浮かび上がらせる。
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《はじまりの道》は、塩の道だ。渥美半島の田原地区周辺は、遥か昔、古墳時代から平安京の時代にかけて、製塩が盛んだったと言われている。今に比べて貴重品であった塩は、此処から、海を渡って奈良地方や、山間を辿って長野、新潟へと運ばれた。その道を、古の人々は、「塩の道」と呼んだ。今から、千五百年程前のキャラヴァンサライだ。

<※その昔、グーグルマップがあったら、塩の道は、こんな感じ>
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横14m×縦2.6mの壁画の中央、山の様に見える白地の部分は、塩の道をイメージしている。それは、人々が、牛の背に塩を乗せて歩んだ道であり、その両側に描かれた植物相や鳥は、旅の途中で目を和ませた風景であろうし、海を渡るときに使われた、二艘の船の穂先が合わさった姿でもある。
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壁画の全体に描かれた植物は、作家が、実際に奈良地方や長野地方の植生をリサーチして把握した。向かって左側は、奈良の植物相、右側は、信州のものだ。風景の中の植物は、植物図鑑の様に写実的にではなく、形と大きさはデフォルメして描いている。塩の道を歩いた古の人々の記憶が、蘇って来たかのようだ。
ロイヤルアイシングの絵画は、生ものであるから、長期の保存は出来ない。この作品も、あいちトリエンナーレ2016の終了と共に姿を消してしまうのだが、《はじまりの道》は、鑑賞者の記憶の中に、長く納められる事になるだろう。

< MAKING >

トークの時の佐々木さんと、キュレーターの金井さん
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※注:ロイヤルアイシングのレシピ
クッキー作りでは、「粉砂糖(200g)+卵白(30g)+レモン汁(小さじ1)」この位ですが、ドローイング用では、砂糖を増やして、垂れない様に硬めにします。

※砂糖と卵白は、ハンドミキサーで混ぜます
 円錐状のものは、「コルネ」で、ここにクリームを入れて、絞り出す様に描きます。
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ロイヤルアイシングの壁画は、光の当て方(影の作り方)が、ポイント。そこで、テスト用の小作品を作って、部屋の中での影の出来方を確認します。結果、窓からの自然光ではなく、「天井照明のみ」を選択した。
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画面構成は、小さな絵画やドローイングで確認。船が二艘と、その上に植物を配置しています。奈良や信州の植物のどの様なものを描くかを決めます。鳥もいます。
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おおよその構成が決まったら、白い石膏ボードの上に、描く線の基準となる細いマスキングテープを貼り、クリームを入れたコルネで、そのテープをなぞりながら、描いていきます。
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せっせと制作に励みます
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とっても細かいですね
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忙しくても、きちんとお客様対応・・・(ブラジルアーティスト:カルドーゾさん)
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ようやく出来ました!!
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